*  自分史 製造業系 ( 五十歳までのワシ。 鉄工所三十二年間の想ひ出 )  *   < kujila-books ホームへ帰る >

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第 1 章  *  7 / 11 


< コマツ産機の外注政策は、 ああああああ

小松地区の零細鉄工所を死滅させた。>



*


最初のタイトルは、乗っ取りだった。
内容に鑑みて変更した。
業績不振から(株)コマツの傘下に入った二社。
石川県能美市湯谷の 浅井鉄工と、
同じく 能美市粟生の S 鉄工を書く。
二社は、コマツから分離したコマツ産機に所属する。
産機とは、産業機械の略。コマツが世界に誇る
大型プレスも、ここで生産する。

だがワシはこの段で、コマツ産機の下請け政策。
きびしく 非難した。 その政策が小松加賀地区の
鉄工業界を、いびつに衰退させたからだ。
コマツ産機の下請け政策に対比させて、
本田技研狭山の外注政策を紹介する。

本田技研狭山は公正である。コマツ産機は不正に近い。
今からでも遅くない。コマツ産機よ、考え直して呉れッ
ホンダ狭山の外注政策を参考にして呉れと、ワシは書く。同時に
大企業の外注政策の参考とも成れッ の思いでも書いた。

この段を読まれた S 鉄工の A 氏から、メールが来た。
詳しいやり取りは、次の段にて紹介する。


*     *     *





< ワシの見た子会社化。 コマツ上手に、三菱下手。>


三菱キャタピラーが、倒産必至の販売店から地区の販売権を六億円で買い上げ
た事。 繰り返し書いた。

マトモな経営者感覚なら、そんな販売店、倒産させる。 倒産すれば二束三文に
なる。 そこで、やおらお出ましになり、文字通り、ただ同然で買い叩く。



まあ 〜 何ですな。 日本版ハゲタカファンド。 リップルウッド。 三菱以外
の会社なら、そうしてる。

三菱は立派です。 表彰したい位です。 出さなくて良い六億。 救済名目で
出す。 こんな仏の三菱に、ケチを付ける評論家の顔が見たい。



でもね。 その六億、誰が出すの? 三菱の機械を買うユーザーじゃ無い?
パワーショベルの儲けから出すわけだ。

お目出たい経営の尻、ユーザーが持つわけよ。 こりゃあ、文句を言わにゃあ
ならんぞなもし。



倒産しそうな販売店、製造部が有りました。 あの瞬間なら、製造部ごと、
二束三文で買えたのです。

あんなチャンス、二度と来ません。 三菱キャタピラーの、お人好しめッ
罵( ののし ) りたく なります。 三菱の経営者は坊っちゃんです。



でも三菱を見てますと、手に入れた企業。 活用して行くノウハウに、欠けてま
すな。 グループの中で、どう発展させるか? その展望を持たぬ会社。

三菱は、そんな企業に見えます。


ワシの語れる範囲は、せいぜい、コマツ( 小松製作所 ) とパナソニック
( 松下電器産業 ) と他に 2 〜 3.ですが、

この手の問題。 参考になりそうな処。 書いて見ましょう。



 *       *       *



< 浅井鉄工は、高い技術力に裏打ちされた価値ある製造企業だ。 >


石川県能美(のみ)市湯谷町に本社のある、浅井鉄工をご存知ですか?

創業社長は、ワシの父、久治良伊一の弟子なんす。 たった一年間ですが、
コマツの機械場で、父は社長に、旋盤の技能を伝授しました。

浅井氏、直後に赤紙が来てね。 歓呼の声に送られて、戦地へ征きました。



父に言わせると、戦後にコマツから独立して成功した社長は、似たような
タイプが、多いそうです。 性格に共通性があるそうです。

実在した人物で申しますと、N 鉄工の創業社長。 N 氏みたいな方に
成ります。



この方、コマツの社員で機械場に居たんですが、朝、会社に来るでしょ。
弁当はよろしい。 問題は釣竿です。

そんな物、会社へ持って来てどうするの? 朝礼が済むと彼、居なく なる。
課長のお供して、川へ、ふな釣りですわ。 遊びに行く のですよ。 会社へ。

仲間が騒ぎましてな。 あんな奴は首だッ



課長がまあまあと取り成して、首には成りませんでしたが、えらい社員が居た
ものです。 会社へ遊びに行ってたんですよ。 ス 〜 ダラ節の植木等以上です。

彼、仕事を他人にやらせる名人。 人を使うのが上手い。 そして、お祭りだ。
忘年会だ、となると、みんなを指揮して大活躍。 あだ名は当然、お祭り男。



戦後、独立しましてな。 N 鉄工を創業。 たちまち大を成したは良いので
すが、あの安宅産業の倒産に巻き込まれ、相当のダメージでしたが乗り切り、

市会議員には成る。 鉄工協会の顔役には成るで ・・・ 絵に描いたような
成功者でした。 成功者には、この手の、ろく でない連中が、多いそうです。

父に依れば  ・・・ ですが。



N 鉄工も今は、息子さんの代です。 小松市の郊外。 掛橋( かけはし ) 川の
辺に工場が在りますから、

前をお通りの節( せつ )は、覗いて見て下さい。 N 鉄工です。
看板が出てます。



 *       *       *



父はね、ワシも N 氏のような男であって欲しいと、祈ってたんです。 それ
が正反対でしょ。

嫌な仕事は引き受ける。 縁の下の力持ち。 神経を酷使する仕事。 それ
こそ五年 〜 六年と、よく まあ根気が続きますねえ 〜


感心されてんのか? 馬鹿にされてんのか? 褒め言葉じゃ無いですよ。
根気が良いってえのは、馬鹿にしたセリフ、なんす。

そんな息子だったものだから、父、がっく り。 こりゃ駄目だと、嘆いてま
した。



父に言わせると、成功者には怠け者が多い。 その分、人使いが上手い。
まじめで表彰された社員からは、成功者が出ていないッ

んだ、そうです。



ただ一人、例外がありまして、この浅井氏です。 表彰される社員タイプから
の、ただ一人の成功者  ・・・  それが浅井氏なんですと。

浅井氏には、人望がありました。 やっぱ成功する人には、何か、そう言うもの
が、有るんですねえ。



 *       *      *



浅井鉄工が本社工場を、拡大完成した祝賀の日でした。 久治良鉄工にも招待状
が来ましてね。

背広で決めた父を、車で浅井鉄工まで運んだのはワシです。 入り口に浅井社長
が立っておられました。



父を見ると深々と挨拶され、親方、親方ッ! って言いますねん。
父、恐縮してました。 父の弟子の中から出た、飛び切りの成功者です。

出藍(しゅつらん)の誉れですな。 この様に、小松能美地区、鉄工業界の成功
者の、かなりの部分。 コマツ時代に父の弟子でした。



この場合の成功者とは、従業員が百名以上の会社を作った人、の意です。
従業員が百名を越えますと、我らの感覚で、大企業と成ります。



  *       *       *



浅井鉄工です。高度成長期は大阪機工などの下請けとして、精密な機械冶具
の製造に、尽力しました。

お察しの如く、大阪機工は倒産しました。 それ以外の親会社も、倒産しま
した。 高度成長期の中の優勝劣敗。 熾烈な生き残り。


日本の一流機械メーカーが、軒並み倒産しました。 諸君らは、般若( は
んにゃ ) 旋盤と聞いて、イメージ、涌きますか?

般若鉄工の社長は、一時期、高額所得者の常連でした。 倒産して影も形も
ありません。 ワシノ機械も行き詰まり、アマダの傘下です。



浅井鉄工も時代の流れに、抗し切れませんでした。 コマツに支援を要請です。
コマツの傘下に入りました。 これって乗っ取りじゃあ、無いですよね。

外から見てると社長はそのままだし、独立性は高いし。 コマツの影が無いん
です。



この辺がコマツの憎( にく )い所です。 やり方が上手いですな。

浅井鉄工はコマツ産機( 産業機械 ) グループに所属して、先進的なプレス
を開発。 世界へ貢献してます。 浅井鉄工のホームページをご覧下さい。



技術力には定評が有りましたから、コマツの傘下で、猛然とダッシュです。
その方面の方なら、浅井鉄工の技術力の高さ。 品質の良さを、

ご存知でしょう。 そのプレスは、世界で使われてます。 浅井鉄工が創業以来
育(そだ)て育( はぐ く )んで来た技術指向の DNA が、


コマツの関連会社になった事で、爆発を起こしたと、言えます。

この辺が、コマツの上手い所、なんですなあ。 三菱は、この点で負けます。
一度掴んだチャンスです。 コマツが手放すとは、思いませんが、



どの程度掴んでいるのか? どの程度経営にタッチしてるのか? よく 見えな
いのです。

コントロールの仕方が、絶妙ですな。 三菱に、この手のノウハウ。
有りません。



 *       *       *



さて次は同じコマツの傘下へ入りながら、違うDNAを持った会社です。
S 鉄工を書きましょう。 前にも出ましたぞ。 憶えてますかな?



< 違う DNA の会社も、コマツの傘下へ入る。 >


企業の DNA、言うものは不思議です。 創業時からの社風が、ズウ 〜 ッ と続く。
それを、その会社独自の DNA と申します。



この S 鉄工は、コマツのあまた有る下請けの中の、雄なんす。 大成功者。
一番の成功者と言って良い。

下請け同士で話しますと、東の S 鉄工。 西の 高松鉄工、言いましてな。 どち
らも断トツの儲け頭(がしら)でした。 下請けの憧れの的なんす。



高松鉄工の従業員は、たった四名。 一台が一千万円以上する、精密で大口径の
長尺旋盤を保有して、儲かる仕事専門。 莫大なる利潤を上げました。

ただし、見ての通り規模が小さい。 規模は S 鉄工が大きい。 S 鉄工の
従業員は、当時で四十名前後。 ( 2010年現在では百名以上の規模 )。



売り上げの規模が違う。 工場の大きさも十倍。 ここもまた、大口径の旋盤を
保有して、儲かる仕事だけ。 儲からない仕事は、一切しない。

断トツの利益を上げてました。 ワシ、S 鉄工へ、仕事、無いでしょうか?
行った事あります。



若い方が出てこられましてな。 お宅さんのチャージ、幾らですか? 言うから
量産品は、時間二千五百円です。

単品の難しい仕事なら、時間四千円、頂いてます。 言うたんよ。 すると
その若い方、お笑いになられました。


そんなに安いんですか? ウチは高いです。 お客さんには最初から、ウチは高い
と、申し上げています。

それでも仕事が、ドンドンと来ます。 始末の付かない程、来てます。 言う
んじゃが。



ワシは仕事を持って来たんじゃない。 仕事をさせて下さいと行ったんじゃ。
仕事を出すからには、安いほど良かろうに。

儲かり過ぎて、このお兄様。 おつむに異常が来なすったんかいな? 正直、
そう思いました。



  *       *       *



仕事が有れば電話する。 ってんで帰りましたが、電話は遂に来ませんでした。
でもね、S 鉄工とは、ひょんな関係で、十年以上の付き合いでした。

うちの親会社の中に、プラント機器を製造してるのが有ってね。 大型の部品は、
この S 鉄工へ外注なんす。



小さい部品は、ワシの鉄工所なので、トラックが来て、運転手と一緒に部品を積
んでると、荷台に、S 鉄工で加工した大型の部品の、載ってる事が有りました。

見ようとしなく ても、見えますがな。 これが問題。 その仕上がり。 時には
考えたく なるよな加工。 無きにしも有らずでした。 加工に成ってなかった。



S 鉄工も、創業時のメンバーは、こうでは無かったのです。 世代が交代して、
何かが変質した。

営業力の強さは定評ですが、それに見合う加工技術。 伴ってるので
しょうか?



現在の S 鉄工は、さらに進んで、第三世代です。 その加工製品は見て
ないので、断言、出来ませんが、

S 鉄工の DNA から、ついつい連想してしまうのは、品質の低さをカバーする
営業の強さです。 人間関係で勘弁して貰 ( もら ) う。



( 株 ) コマツ産機に対する営業力です。 寝技ですな。 S 鉄工は創業以来、
典型的な寝技、営業力の会社です。

親会社の担当者と仲良く なり、接待なんかして、有利な条件で仕事を頂く。
これです。 これの優秀さで発展した会社です。



  *       *       *



例えば S 鉄工の儲け頭 ( がしら ) のひとつ。 コマツが世界に誇る大型
プレスの、起動シリンダーです。

十万トンプレスなんて、起動時に物凄い抵抗がある。 テーブルが持ち上がらな
い。 メインのシリンダーだけでは、無理がある。



そこで、直径 壱メートルの小型シリンダー。 テーブルの四隅に配置して、
起動させる。

テーブルが動き出したところで、メインシリンダーへ、バトンタッチ。
これだと無理が掛からない。 その起動シリンダーです。



ワシが行った時です。 年配の工場長みたい方が出て来られまして、工場を案内
しながら、ワシに自慢するのです。

この部品 ( シリンダー )なんか、一個十五万も貰えば充分なんだが、
ウチの社長には力(ちから)があるから、二十五万で受注してる ・・・ とね。



諸君、この意味。 解りますかな?
こんな具合に、S 鉄工は創業以来、コマツ産機部門の遊ぶ金を作る会社でした。

その関係は今も、基本的に変わってません。 この会社の成功は
最初から現在まで、寝技の成果です。



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この部分、当然ながら、石川県能美市粟生町に本社のある S 鉄工の S 創業社
長に、申告しました。

反応が有れば、併記します。



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この起動シリンダー。 大型プレス一台に四個付く。 一個当り、十五万でも
儲けの出る仕事。

二十五万で受注ですから、コマツの世界的プレスが一台で、四十万円も余計に
儲かってしまう。



S 社長、得意の言葉。 ボク、コマツ産機の担当者への接待に、月六十万使っ
てる。

S 鉄工の仕事は、シリンダーだけではありません。 コマツ産機の、儲かる
仕事は、まず S 鉄工へ行く。 と言われてます。



ワシが S 鉄工は、( 株 ) コマツ産機の、遊ぶ金を作る会社だッ

と言う根拠が、これです。 つまり、コマツ産機には、企業内企業家が、お住まい
であるッ  ・・・  って事を、言いたいのです。



でも、この接待、難しいですよ。 コマツ産機の社員は、やがて移動します。
妙な恨みを抱かれたりすると、接待側の会社、破滅します。

内部告発されます。 それが無い。 S 社長の力量、うかがわれます。
真似の出来ない持続性、信頼性です。



S 鉄工の成功は、むべなるかな  ・・・  ですな。 S 社長を継ぐ
営業の A 氏の力量も、評価しなく てはいけません。

でもね、それがどんなに立派でも、コマツ産機の企業内企業活動である事。
同じです。



こんな事が、堂々と何十年にも渉って続く 事が、( 株 )コマツの、ひとつの
企業風土です。

そして、それが、石川県小松地区の零細企業群を、壊滅させました。 一掃です。
コマツ産機の外注政策に、ワシ、恨みさえ有ります。



  *       *       *



S 鉄工を筆頭に、上位二十社へ、儲かる仕事が集中です。 後に詳述しますが、
埼玉県狭山市に在る 本田技研狭山。

儲かる仕事には必ず、儲からない仕事が、く っ付いて来ます。 儲かる仕事だけ
を、させないのです。



コマツ産機なんて、アホみたい利益の出る仕事。 S 鉄工へ集中じゃ、ありま
せんか?

底辺の下請け鉄工所。 一日で数千円の仕事です。 これでは工場を閉鎖して、
働きに出た方が、マシです。



ですから、上位二十社は固定ですが、仕事を求めて来た零細鉄工所のオヤジさん。

一回の仕事で、恐れを成して敗退です。 コマツ産機は、こんな外注政策で、
小松市の零細鉄工所を、ほぼ、絶滅させました。



ワシ、言うのです。 コマツ産機の外注政策は、新兵に小銃持たせて、機関銃が
火を吹く敵陣へ、突撃させてる様なものだと ・・・ 戦死体の山です。

小松市の戦場は、零細鉄工所の死屍が累々だと  ・・・・ ワシは言います。



最近、小松駅裏のコマツ工場 ( ここがコマツ産機の工場です。 小松製作所、
発祥の地でもあります。) 廃止、移転になりました。

輸出に便利なように、金沢港近く へ引っ越したそうですが、裏の理由。
小松市では、下請けの町工場。 死滅したからです。

( 株 )コマツ産機の外注政策が、死滅させたのです。



  *       *       *



S 鉄工で加工してる、起動用シリンダーです。
部品はまず、鉄板を直径壱メートルに巻く。 合わせ目を溶接する。

この、高さも直径も、壱メートルのパイプ。 溶断で切り取った円盤の上に
置く。 両者を溶接で、一体化する。

これを大径正面旋盤に取り付けて、内径を削り、シリンダーに仕上げる。



大きいと言う以外、取り得の無い部品です。 これなら一個、十五万でもおつりが
来ます。 それを S 鉄工は、二十五万で受注しました。

工場長と思しき方、ワシに自慢しました。 ウチの社長には力がある ・・・と。
胸を張りました。 十五万で充分なのに、二十五万で受注したと、

自慢されたんですよ、その方は  ・・・  ワシを、つかまえて。



諸君、理解出来ましたか? これが寝技の世界です。



つまり、S 鉄工の DNA は、創業以来、そんな DNA なのです。 営業力です。
ある時は、社長みづから、自慢されました。

ボクは( コマツ産機の )社員の接待に、月六十万以上使ってる ・・・ って。
これ、コマツ産機の社員は、月に六十万以上の接待を、受けてるって事です。



S 社長の言ってる事は ・・・ 君らにボクと同じ事、出来ますか? って言う
自慢でもあります。

そうです。 出来ません。 ワシなんか、全く 出来なかった。 S 鉄工は、
かく して、コマツ産機の、最も成功した下請けとは、成ったのです。



 *       *       *



S 鉄工の社長は、二十年、三十年のスタンスで、コマツ産機の社員を接待し、
良好な関係を維持しました。

これ、並みの人間には不可能です。 コマツ産機の社員は交代します。 世代も
変わります。 接待する相手が変わる  ・・・ ちゅう事です。



ワシの父を見て下さい。 K 機械の M 氏に可愛がられたは良いが、M 氏が急死
すると、K 機械から、切られたじゃない。

M 氏に思い入れ、し過ぎて、次の手がお留守でした。 だからドジを踏んだのです。
借金してたら倒産でした。



そんな目で S 鉄工の創業社長を見れば、如何に出来た男か、解るでしょう。
営業力は、確かに、脱帽的に高く とも、

S 鉄工の製造技術、加工技術を、ワシ。 買うわけに行きません。
ここが、同じコマツ産機の傘下ながら、浅井鉄工との決定的な違いです。



 *       *      *



鈴木鉄工の次期社長の呼び声の高い、A 氏
についても書かねばなりません



A 氏からはメールも来てました。 次段にて書きます。



***********************************************************************



( 石川県小松地区、鉄工業界に詳しい方と話す機会が有りま
  した。 話の内容は、この段の末尾に付加しました。

  その方の指摘を正しいと判断し、上記二行を削除します。)



**********************************************************************



そして同時に、

鈴木鉄工に接待される、コマツ産機の社員の、いわゆる企業内企業家の実態をも、
知ってもらいます。



  *       *       *



コマツが、大型プレスを受注して部品が外注される時。 外注費の総枠は、
コマツが規定します。

その中で S 鉄工に、法外な単価を与えれば、その他の細々(こまごま)した
部品の単価。 安く ならざるを得ません。



ワシが言いたいのは、そこです。 実際、破滅的に安い単価です。
S 鉄工が儲かり過ぎて、税金に頭を痛めている時、

零細なる鉄工所は、生活費が、やっとです。 コマツ産機には、儲かる部品
を、儲からない部品とセットで出す発想が、遂に有りませんでした。



今からでも遅くない。 コマツ産機よ、考えて下さい。 遊ぶ金を作る方法は
これしか無いですか?

傘下の企業のみ、ピカピカに繁栄し。 小松の原は、廃業した零細企業の白骨が
累々としています。



コマツは、コマツ産機は、その外注政策により、石川県小松地区の鉄工業界を
形骸化しました。 死滅させたとは言いません。

一将功成りて、万卒枯る。 儲かる仕事は、ある企業に集中し、底辺の町工場は
残業して働いて、一日、一万円  ・・・ です。



ワシ、ある時、コマツの担当者に、言われました。  お前ら、田んぼで米、
作ってんだろ? おマンマ、有るわけだ。

あと、オカズ代だけ、だろ? その単価で充分だ。 文句有るなら、止めて
呉れ。 お前らのような鉄工所、幾らでも有るから。



  *       *       *



諸君らにも一度、加工先を待つ部品図の山を、見て欲しい。

下請けの上位会社から順に、単価の良い図面を抜く のです。 ワシらが
見せて貰える頃の図面の山は、抜かれに抜かれた、カスなのです。



コマツ産機の下請け協同組合の所長が、ワシに言いました。
久治良さん、何ならその図面、全部持ってって良いですよッ

ワシ、所長を睨み付けてやりたかった。 見るのを止めて席を立ちました。
また来ます。 言うて、帰りました。



一枚も取らずにです。 他人の金儲けを助ける趣味、御座んせんですッ
それきり、コマツ産機の仕事、してません。

協同組合に居るのは、全てコマツ産機からの出向社員です。 あいつ等には
本田技研狭山のように、儲かる仕事と、儲からない仕事。


セットで出す発想。 遂に有りませんでした。 ぼろ儲けの仕事は、S 鉄工
以下、上位二十社へ。

スーパーのアルバイトの方が、マシな仕事は、我々みたい、嫌なら止めて呉れッ
の工場です。



だから見て下さい。 S 鉄工以下の儲かってる会社。 普通旋盤、汎用の
フライス盤。 一切売却です。 そんな機械が有ると、仕事が来るからです。

工場には儲かる仕事の機械しか、置かないのです。 大型機械、超大型機械。
のみです。 儲からない仕事の機械、無いのです。 置かないのです。



  *       *      *



< ホンダ技研狭山工場の外注政策。>


ワシが明海大歯学部へ入学した、埼玉県坂戸市近辺。 アルバイトに行った、ど
んな工場にも、普通旋盤が有りました。

コンピューター制御の大型機械の横に、普通旋盤です。 儲かる仕事には、必
ず儲からない、細々 ( こまごま ) した部品が付いて来るので、



嫌々ながら、旋盤加工。 せざるを得ないのです。 それが本田技研狭山の憲法
でした。

だからワシみたい旋盤工。 どの工場にも一人か二人。 うろついてました。
ワシもアルバイトながら、うろついてました。



石川県小松市のコマツ産機。 ワシ、あそこの工場長と、外注単価を決めるセク
ションの社員。 ズタズタ にして、やりたいです。

死刑は廃止されても、殺人は廃止、出来ませんからね。 殺人しても死刑されない
世の中が、早く 早く 来て欲しいです。



ホンマ、コマツ産機の外注政策は、小松の原を町工場の墓場にして呉れました。
( 株 )コマツ の経営者様。 今からでも可能です。

コマツと、コマツ産機の外注政策を、考えて直して下さい。



***********************************************************************



プレス( コマツ産機:産業機械 )の仕事をしてますとね、コマツの社員に怒り
を覚えます。

彼らが S 鉄工にボロイ単価を付けるのは、遊ぶ金を作る為です。



その、しわ寄せが弱小の鉄工所に来るんです。 簡単な図式じゃあ、ありませ
んか?

ワシは昔から、コマツ産機の外注単価の決定チームの連中を、マトメて
どっかへ、捨てて来たいと思ってました。



雁首(がんくび)揃えて配置替え。 在庫の一掃処分。 してみたいです。
コマツの経営者様。 あいつ等を残らず退治して呉れませんか?

退治するだけの価値、有りますぞ。



 *       *       *



こんな風に、コマツの中にも、企業内企業家が居るんです。
しかもです。 会社はそれを、退治出来ないんです。 何故かって?

抵抗を受けるからです。 大型プレスの部品点数、何万点か? ご存知
ですか?



こまごまとした部品を、どんなに安い単価でも、とにかく加工させて集めない
事には、プレスは完成しません。

下請けを脅かしても良い。 すかしても良い。 とにかく 加工させないと、
組み立ちません。



この現実に直面すると、たとえ社長が、みずから改善に来ても、負けます。
複雑さのノウハウに、負けます。 社員にサボタージュされたら、どうしま

すか? 一歩も進まなくなります。



企業内企業家は、かく して本日も健在なんす。 休日のゴルフ。 愉快な仲間。
気持ちの良い汗。 そのあとの、

温泉の爽快さよッ 湯上りのビールの美味さよ。 板さんが心を尽した
お料理よッ

おおッ  この至福を守る為なら、殺人でもしちゃうぞッ



って感じでしょうな。 しかも、これ全部、只です。 ロハです。 S 鉄工の
接待です。 お代はあちら持ち。 自分の財布は傷みません。

時には、お小使いまで頂いたりして  ・・・



  *       *       *



でもね、この接待する人って、大変ですよ。
気持ちの良い会話が出来て、もてなしも上手でないとね。

今、S 鉄工の営業担当で、これをしてるのが A 氏です。 すごい能力です。



悔しかったら、上記の接待を、あなたも、自分でしてみて下さい。 それも十年
二十年のスタンスで  ・・・ ですよ。

出来ますか? 出来ますか?



天性の何か  ・・・ が無いと、不可能です。



でも経営者から見て、この手の社員が巾を利かすのは、会社が齧 ( かじ ) ら
れてるって事です。

パナソニック(松下電器産業)だけは、この手の人間、居ませんでした。 コマ
ツには、かく の如く。 過去現在未来に渉り、堂々と生息してます。



 *       *       *



この続きは、次段にしましょう。 乗っ取りと言いながら、皆様の思う
乗っ取りとは違うでしょ。 助けて呉れって来たのを、コマツは、助けただけ

です。 でも、乗っ取りなんです。 その続きは、次段です。



***********************************************************************



< 二行削除、判断の根拠。>


石川県小松加賀地区、鉄工業界全般に精通された方との対話。 有意義でした。
S 鉄工が、コマツ産機社員の、遊ぶ金を作る会社として発展し、

その経営路線は、今も変更が無い。 と言う点まで入れて、この第一章の文意、
大筋で了承を得ました。



ただ、S 鉄工の次期社長は、A ではない。 創業社長の息子が就(つ)く。
と言う部分で、訂正を求められました。



 *       *       *



ワシの耳袋には、古い情報が有りましてな。 S 鉄工の息子さん。
お父さんみたい。 接待、接待の毎日。 そんな生活、

ボクには無理だ。 てんで、関係の無い、他人の会社へ就職。 跡(あ
と)は継(つ)がない ・・・・ と言う様な話。



確かに聞いてたので ・・・・ するとだよ。 S 鉄工は、A が社長の座に就く
以外、選択肢が無いじゃない?

の判断から、上記の文としたのです。 そうですか。 経営が行き詰まり、
コマツの傘下に編入され、親方日の丸。 安心になった所で、



息子を呼んだのですね。 だけど創業社長も二代目になる息子さんも、今や、
キャップです。 帽子です。 飾りに過ぎません。

実質的経営者が A 氏であること。 お話の方とワシの意見は、一致しました。



その方のお話。 ある意味、ワシのこの段より数倍。 ギタギタしい( あられ
の無い )ものでした。

まあ 〜 何んです。 機会が有れば、紹介しましょう。



でも、こんな話。 読者の周りにも、ひとつやふたつ、有りますよ。 S 鉄工
は、勝者です。 勝ち過ぎて、手を広げ過ぎて、一度は転びましたが、


直ぐに立ち直り、今また勝者です。 2009年。 不況でしたが、コマツの
直接傘下の企業は、保護されました。

日本の下請けは、結局の所。 どこかの大企業の下へ入るか。 または
優秀な自家製品、独自の加工技術を持つか、


二者択一(たくいつ)を、迫られてるのは、間違い有りません。 平凡な
鉄工所なら営業力で、

大企業の心を、く すぐ る以外、生きられない時代です。 その視点に
立てば、S 鉄工の生き方も、ひとつの見本です。



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ワシは、S 鉄工の A を、冷やかす如く 書いてますが、むしろ、賞賛すべき
かも知れません。

これで S 鉄工に、高い加工技術が付けば、鬼に金棒です。 ワシみたい、
営業は、からきし駄目ながら、職人的技能なら、



名人級の人間と組めば、そりゃあ 〜 S 鉄工。 断トツに成ります。 こんな
批判文を書いてるより、S 鉄工の社員にでも成りますか?

ただしです。 世の中を見てますと、職人は、一般的に報( むく )われない。
経営者が利益を、壟断( ろうだん )するからです。



壟断とは利益の大部分。 経営者の懐(ふところ)に入って、現場の職人。
安い月給で、こき使われる。 と言う事です。

共産圏でも、同じでした。 資本主義国の経営者も、共産党の幹部も、似たような
ものでした。



ワシみたい、職人にしか成れないタイプの人間。 どこへ行っても、どんな時代で
も、下働きです。

すると、どうしても感情的に、S 鉄工の A 氏の様なタイプ。 こき下ろしたく
なりますな。 無駄な あがき ですが  ・・・・



こんな本を書いて、ちょっとばか、憂(う)さを晴らしても、それだけです。
世の中は動きません。 それだけの事です  ・・・・



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最初に予告した鈴木鉄工の A 氏とのメール交換。 学歴の部分を、
次段にて、紹介します。




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