*  自分史 製造業系 ( 五十歳までのワシ。 鉄工所三十二年間の想ひ出 )  *   < kujila-books ホームへ帰る >

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第 1 章  *  1 / 11 

< 三菱キャタピラーの 下半身問題 >

(副題) 拝啓 キャタピラージャパン米人経営者殿。

*

冒頭に三菱が来た理由、ワシの壮年期の主題が、これだったから。
第二章で人生の最初に戻る。のち再び三菱に収斂(しゅうれん)す。
グルッと一周するわけだ。さながら連環した人生の輪(わ)だな。

ここで言う三菱の下半身問題とは、三菱から分離した
三菱キャタピラーの、下請け政策の問題点だ。
鉄工所時代、ワシは三菱キャタピラーから見て孫請けに相当した。
下から見上げた三菱キャタピラーの一側面の、報告である。

皆さんも知る如く 三菱キャタピラー、今は三菱が抜けて
キャタピラージャパンである。しかしその DNA 、まぎれ無く、
三菱ではあるぞ。三菱の研究者、ウオッチャー、週間金曜日の先生方の
参考に成ろうかと思う。

しかしワシの見方は週間金曜日的な三菱の否定や、こき下ろしではない。
世界の産業界は途方も無き巨大化、寡占化の時代である。世界の産業界を
ロスチャイルドやロックフェラーの系列で見ると、三菱など、小さい
小さい小さい青虫である。だから三菱を兵器産業だ。死の商人だッ
などと叫び、こき下ろしてる時代では無い。そんな歌は懐(なつ)メロだ。

見よ。三菱の建機部門は、アメリカにもぎ取られてしまったではないか
三菱重工全体が、アメリカ金融資本の持ち物に成る可能性。有るのだぞ。
そんな中で、三菱をどう観れば良いのか? 少し考えてみよう。

ワシはむしろこの章は キャタピラージャパンの米人経営者に宛て、
書いてる気分。是非読んで頂きたい。
副題を <拝啓 キャタピラージャパン殿> にした理由だ。
韓国はアジア通貨危機に事寄せて、アメリカの金融植民地にされた。
彼らの目指す本丸は、日本の製造業でこそ、ある。
週間金曜日的主張は、もはや時代遅れなのだ。
では始めよう。


*




< まず(表本)爆笑五十歳の第一章、五段目を引用する >


すでにお読みの方も、取り敢えず、眺めて頂きたい。
文脈を変えた。 意味を摂り易いよう、ストレートにした。



 *       *       *



ワシ、三十二年間、製造業に従事した。 その間、沢山の会社を見て来た。
諸君らも知る所では、松下電器産業(今のパナソニック)の経営が、

断トツに優れてた。

かなり下がるとは言え、本田技研(鈴鹿)、小松製作所(コマツ、粟津)の経営
が、これに続く。


所が三菱キャタピラー。 今はキャタピラージャパンへ移管。 三菱の名前は
抜けた。 その、かっての三菱キャタピラー。 天下の三菱重工からの分離会社。

下請けから見て、実に実に実に、腑 ( ふ ) に落ちぬ経営だった。
常識を外れていた。



  *       *       *



この章を書く為に、三菱に関した昔の本を漁 ( あさ ) ってみたが、研究者の
本。 ウオッチャーの本は有れど、下請けの、それも現場からの報告など、
有るべく も無い。

だからワシの気分。 三菱の研究者の為に、現場からの根本資料を残す ・・・



2009年時点、三菱はキャタピラージャパンの株、33% を保有してたが
これを売却。 手を引いた。 三菱キャタピラーは、失敗だったそうだ。

そりゃあ、失敗でしょう。 あんなボクちゃん経営では、成功してても
失敗する。 三菱の経営者は、どんな 頭脳(おつむ)をしてんだか?

こっちが聞きたい位だった。 確かに三菱は他の会社と違う。 問題はそこだ。



アメリカのキャタピラー社は、それを知って三菱と組んだのか?
キャタピラージャパンの DNA は、紛 ( まぎ ) れなく 三菱の DNA だぜ。

三菱重工は、でかい。 ワシの言う三菱は、建機部門の三菱キャタピラーである。
こうして書かれる程、その部門の経営、疑問だったのだ。

こんな会社を我が物にして、キャタピラージャパン様。 大丈夫かいな?
冗談抜きで心配してますぞえ。



< 三菱キャタピラーの 下半身問題 >


三菱の抱える、ある影の部分を、是非、知って欲しい。

三菱は、他の会社と違うと、良く 言われる。 どこが、どう違うのか?
三菱は会社を乗っ取ったりなど、絶対にしない。 そんな下品は、しない。


それ処か、困っている会社が有れば、行って、仕事と資金を、出して上げる。
宮沢賢治じゃ無いが、雨にも負けず、風にも負けず。 あの、お目出度い人物。

みたい会社なのだ。 三菱の悪口言う先生。 それを知ってますか ?



  *       *       *



ある時、ワシの眼前に、倒産の危機に瀕した三菱パワーシャベルの販売店が
有った。

三菱キャタピラー、行って助け起し、その会社の地区販売権を、六億円で、
買ってあげた。



それを見たワシ、三菱キャタピラーって、何て甘い会社じゃと、嘆息した。
半年待てば、その会社。 倒産は必至である。 倒産して二束三文に成った所を、

ただ同然。 買い取れば良いのだ。 三菱、そんな下品。 絶対にしない。
立派と言うか、お目出度いと言うか? 三菱は、坊ちゃん会社ではある。


三菱の出した六億は、一体、何だ ? 六億を稼ぐ為に、三菱キャタピラーは、
何台のパワーシャベルを売らねばならぬのか?

ワシが三菱の経営者なら、六億を出した責任者に、その金を稼いで来いッ
言うて、営業へ出すね。 三菱は官庁か? そんな考え方、思い付きもしない。



 *       *       *



長銀(今の新生銀行)を見よ。 十兆円の資産を保有しながら、アメリカの
ハゲタカに、十億で、さらわれてる。 この時の、コンサルタント、

ゴールドマン.サックス。 コンサルタント料、八億円。 つまり十兆の資産を、
二億で盗られてるのだ。 我が日本国はッ



三菱に、リップル.ウッドの真似をせい、なんて言わんが、倒産必至の会社に
六億円も出すなんて、テメーら、アホか? 坊ちゃん経営、してんじゃあ

無いよッ と言いたく 成る。 こんな会社だから、下請けは、いか
さまに走るのだ。 いかさましてても、何も起こらない。


何も起こらないから、いよいよ三菱を馬鹿にする。 いよいよイカサマに
走る。 下請けのこの気分、三菱キャタピラーは、了解してたのか?



 *       *       *



< 下請けのイカサマ。 何見てんだ三菱? >


パワーシャベルの、アームに取り付けるブレイカーだった。 (クサビを、
油圧の力で打ち付け、ビルや道路のコンクリを、ドンドンと壊すもの)

外箱の軸受け、溶接で取り付ける際の、開先 ( かいさき ) だ。
( 溶材が溶け込むV字状の処 ) 溶接屋の要請でイカサマした。

削るの無しにしたのだ。 開先の、ボス側の機械加工、止めたのだ。


これなら削らなく て良い。( ワシの工場、旋盤で機械加工だ。)
部品の一方の開先が無いから、溶接は、図面体積の半分で済む。

機械加工の時間が、半分なら、溶接時間も半分に成る。 溶接の材料費、当然
半分。 こんな楽な話、外に無い。

見つかれば、弁償もの。 相手が怖い親会社なら、絶対に出来ない。 しない。
相手は三菱キャタピラーである。 何の問題も起こらなかった。



溶接部分、当然、強度不足。 ユーザートラブル、多く発生した。 なのに、
これからは、もっと注意して溶接して下さい ・・・ でお仕舞い。

その時ワシ、溶接屋に言ったのだ。 ヤバイから開先、図面通りに削ろうか?
溶接屋いわく。 少し丁寧に溶接するから大丈夫。 開先は取らないで呉れ。



  *       *       *



余( あんま )し だったので、ワシ、向こうの担当者に仄め(ほのめ)かした
事、有るのよ。 何故か反応、全ったく無し。

変なこと、言わないで下さい。 ボクらは下請け企業との、信頼関係で仕事
してんですから。

逆に、たしなめられた。 どう何っとるんじゃい? イカサマは現実だぞッ



 *       *       *



ヤッパ、三菱だ。 こんな優しい会社、他に有りません。
三菱の悪口言う先生を、一発、ぶん殴ってやりたい。 ベ平連の一株運動の時

だった。 もし三菱から救援の要請があれば、ワシ行ったね。 どく ろのお面
被 (かぶ)った連中を、ポカスカ殴ったと思う。 三菱の下請けの、この気分。

佐高信先生らは、了解、してるのかな?


つまりだ。 当時のキャタピラー三菱、それ程に 優しく。 かつ儲けさせて、
呉れたのだ 孫請けの我々でさえ、こんなに儲かって良いのかしら?

心配になった位だった。 品質検査は甘いし、加工単価は良いし。
三菱を批判される先生、それを知ってから批判して下さい。



だけどね、あれじゃあ三菱キャタピラーは儲からない。 本を見ると、三菱キャ
タピラーは、創業以来の八年間。

巨額の赤字、出し続けたとある。 まともな神経の経営者なら、儲けようとして
下請けを締め上げるものだ。



三菱キャタピラーは、だから、下請けから見て神様か仏様だったのだ。
こんな有り難い会社、他に無いッ

三菱の悪口を言う奴は、前へ出ろッ 鉄拳制裁だッ
の気分が、起るのだ。



 *       *       *



ワシこれまでに、加工ミスの責任を取らされ、潰された会社。 何軒か
見て来た。 情けも容赦も有ればこそ。 弁償させられていた。

弁償しても終わらない。 問題が処理された後、下請けから追放である。
三菱にも弁償はある。 でも優しさが違う。 追放なんかしない。

下請けは、嬉しくなる。 感激で目頭が、熱く なる。
三菱大明神を神棚へ挙げて、拝みたい位だ。



三菱のトラックから、タイヤが外れました。 そのタイヤに当って、
母子が死にました。 やっぱ三菱やからなあ ・・・ と思ってしまう。

ブレーカーの、軸受けの溶接、イカサマしとると、
下請けが言うとるのに、反応せんのじゃよ、三菱と言う会社はッ



普通の会社と、感覚が、まったく 違う。 だけどこれ、高コスト体質と
同義語でもある。 コストは高い。 品質は伴わない。

こんな坊ちゃん経営だから、戦車、戦闘機、原子力発電、ロケットを
作らないと、会社が持たない。 当たり前だ。


ワシが体験的に言える事。 三菱の悪口言う専門家は、さかさまなのだ。 上から
見ても駄目。

三菱は下半身が、大甘のデレデレだから、どうしても、不可避的に、自由市場で
は無い。 戦車みたい、利をドカッと取れる、共産主義的な産業分野へ、進まざ

るを得んのだよ。



三菱の経営者様。 儲かってる内に体質を変えないと、まずい事になるぜ。
それこそ、儲からない体質なのに、それで儲けようとして、戦争でも起こされた

日には、こっちが大迷惑するッ



 *       *       *



三菱の業病は何か? それは東大病である。 三菱は、明治の創業時から東大だ。
岩崎弥太郎が、それを好んだ。 三菱は東大卒の、集団就職先なのだ。



三菱は、東大京大、馬の糞。


言うてな。 沢山有るものの例(たと)えだ。 だけど、日本の超秀才を、こん
なに集めてるんだから、やり方次第で世界一に成れる。

成れないのは、経営に不適合があるからだ。 企業努力で、何としても適合して
貰いたい。



注意したいのは、同じ三菱重工の、造船の仕事をした時だ。 品質管理の、
余りの厳しさに、泣かされた。

(株)コマツも検査の厳しい処だが、三菱の造船は、それ以上に厳しかった。


建機だけが、ゆるふん( ふんどしの緩い事 )なのかも知れん。 建機は、その
後、キャタピラージャパンへ移管された。 三菱は手を引くと言う。

あれでは無理も無い。 下請けから見て、当然である。 自業自得。
ボクちゃん経営の、行き着く先だよ。



 *       *       *



ワシはこの段を書く為に、三菱重工に関した本を、何冊か読んだ。

あれは昭和四十年代である。 重工を批判する本が、洪水の様に出た。
あの頃の本を見ようとして、手に入らないのに苦労した。 県立図書館にも無い。


あの頃の本は、意図的に消去されたのか?

神田の古本屋街へ、漁(あさ)りに行く程の、閑も金も無い。
当時の記憶と、手短かの本で、取り敢えず書いた。 のち加筆する。



 *       *       *



アメリカのキャタピラー社が日本へ来たのは、昭和三十六年(1961年)だ。
小松製作所、日立製作所も提携に応募したそうである。

結果、新三菱重工が契約を取った。 当時は財閥の解体で、三社体制。
新三菱重工と三菱日本重工と三菱造船だった。 その後、三社は合併した。

三菱重工の誕生である。 なるほど、それで造船の感覚が違うのだ。 三社時代、
それぞれが独自に進化したらしい。



 *       *       *



次段では、三菱の下請け、下半身に関してもう一歩踏み込んでみる。



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< この段に関して、ある方の批判を受けた。>


三菱キャタピラー社の責任は、減免される ・・・ の批判だった。 イカサマ
のブレイカーは、三菱の系列で販売されたとは言え、

製造会社は < (株)港南建機 > である。 ワシが、イカサマが有ると進言した
のも、その港南建機である。 当時は 港南電機株式会社だった。



2005年、建設機械の事業部門が分社化して、港南建機株式会社が生まれた。
本社は兵庫県神戸市、西区。 従業員 (2010時点で) 六十余名。

社長は 宮内寿一氏である。



ブレイカーの外箱を、石川県小松市長田町の (株) 北菱 (ほくりょう)
谷口寛社長へ、外注。

軸受けボスの機械加工は、大領中町の久治良鉄工こと、土田鉄工所。 社長は
ワシ、鯨葉いるか こと、土田公平である。


問題の溶接は、安宅町の新木鉄工所、新木隆夫社長に、外注された。
これを見れば、三菱キャタピラーの罪 ( つみ )、 一等を減ずべきかも?

次段にも書くが、イカサマは溶接の開先 ( かいさき ) だけでは無いのである。



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( 緊急報告 )

○ 魂消たッ

   この溶接屋 新木隆夫社長は、平成14年 ( 2002年 ) 4月、

   石川県小松市安宅漁港より、仲間二名と漁船にて沖釣り。 帰路、漁港入り
   口の川口にて、漁船が転覆。

   新木社長は行方不明、他の二名は死亡確認との事。 通知して下さった方に
   感謝と同時に、心底驚いた。

   人の運命は、何処でどうなるか、判らんものだ。 社長、享年六十二歳。
   今のワシの年齢だがや



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新木社長は、作業時間短縮の為、開先を取らないイカサマのボスを、 ただの一周で、溶接完了。 そんな溶接では外箱に対するボスの変位が、甚 ( はなはだ ) しい。 ゆがみ
が大きいから、ピン ( 軸 ) が通らない。

それを通そうとして、当ってる部分、手持ち研磨器で削ってしまう。 軸孔なん
て、肉眼で見ても、いい加減なものだ。 図面指示は、上仕上げの真円である。


こんな、飛んでもないイカサマ製品が、お咎めも無く、三菱のルートで販売さ
れた事に、ワシは奇異を感じた。

ワシは一度、たまりかねて、言った事が有る。 おいおいおい、こりゃあ、製品
に成ってないぞ。 新木社長いわく、



大丈 〜 夫。 三菱は何も言って来ない。


今、これを書いていてさえ不思議だ。 三菱の品質管理、どうなってるの??
同じ三菱でも、造船部門の検査の厳しさ。 既に書いた。

建機部門は、何してるの? また港南建機 ( 旧 港南電機 ) には、品質
意識、有るのかね? お互いの信頼関係で仕事してては、駄目だぜ。

信頼の無い奴 ( 国 ) が、大勢居るのだ。 日本国憲法の前文じゃ駄目だぜ。



そもそも港南建機には品質検査の担当、居ないのと違うか? 良く ないぞ。
あんな品質管理、理解出来ない。

中東のサウジアラビアにも、三菱のブレイカーが輸出されたそうだ。 ワシ、
日本の恥を、ばら撒 ( ま ) いた気がする。

あんな品質では、すぐ 壊れる。 外箱の軸受けが、真っ先にイカレる。



三菱に電話しても、会社がデカ過ぎて要領を得ない。 港南建機は、無反応
だった。

何か言って来れば、ここに併記する。



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では、今度こそ本当に、次段だ。






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