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第 七 章 * 1 / 5 

< 卒業だ! ハッ、ハッ、花の一分会だあ! >



< 卒業委員会。 花の、一分会 >


卒業委員会には、三分会、有る。 イチは、国家試験の対策担当。 ニは、
卒業記念の、写真集の構成。

サンは、卒業式の後、ホテル、ニューオータニで挙行する、卒業記念、謝恩会
の、運営担当。


こう見れば、判る如く。 六年次の後半は、一分会が、主役。 いわゆる、花
の一分会。 ここの出身者は、成功歯科医に、成れる!  のジンクス、

根強く、有る。 人呼んで、はっ、はっ、花の一分会! 名誉ある、伝統。
あらゆるテストの情報。 全てここに、集まる。

よって我ら、頼んまっせ! と言わざるを、えぬ。



一年間続いた、臨床実習も、やっと終わったか、と、息つくヒマも無く、八月
二十日には、早くも秋の、総合講義、開始する。

毎週、毎週。 土曜日毎の、模擬テスト。 いよいよ、し烈さを増す。 大学
は、完全に、予備校と成った。


一分会の面々。 自分の勉強がある。 それを割いて、みんなの為に資料作り。

卒業して、振り返れば、一人当たり、なんと、三十センチを越すプリントの山。
これ全部、一分会の汗(あせ)。

まず、ご苦労さんと、言わずんば、なるまい。



< 一分会に、議論、吹っ掛けた、オッサンが、居た >


誰じゃあ? そんな不埒な、真似、すんのは?

当然ながら、ワシで、ござんす。 では、一分会の、何に、因縁を、付け
た、のか?

そこが、問題じゃ。 ワシ、一分会の戦略に、一考を求めた、のだ。


一分会、六年次の初めだった。 歯学部長を座長とする、国試担当の教授会よ
り、昨年、一年間分の、模擬テストの問題。 解答、解説付きで、貰った。

印刷して、全員に配布せよ!


教授会が、呉れた資料だぜ! それを、だ。 一分会は、我らに、何と言った
か?


 *      *      *


この時の口上、断然、宜しくない。 一分会は、言ったのだ!


これは、さる筋から、極秘で入手した、過去問である。 大学も教授会も、

全く知らない! だから、この資料、自宅、のみで! 見て欲しい。

間違っても大学へは、持って来ないで、欲しい!


この約束が、破られたなら、一分会は、活動を停止する!

絶対に、秘密の資料、だから。 よくよく、わきまえて、行動して欲しい。

もう一度言う。 約束が破られたら、一分会の活動は、もう出来ない!

活動を、停止する! みなさん、いいですね!


 *      *      *


真に迫って、なかなか聞かせた宣言だけど。 最初の、この一歩。 間違って
は、いないか?

何が、間違っとると言うて、その資料。 言った如く、大学の教授会が、一分
会を呼んで、これ印刷して、全員に配布しろ、と、下命した物、だぜ。


それを、大学も教授会も、全く知らない! は、虚構としても、いささか、無
理が、ある。

ワシ、思うに、一分会。 卒試、国試の直前だからね。 そう言う意味付けで
もして、緊張感を出さないと、やってられ無かった、の、かも、知れん。


であれば、もう少し別の戦略を、思い付いても、良かったんじゃあ、なかろう
か? 最初のボタン。 掛け違い。 かも、知れんだろう? と考えたわけだ。

プライドでしょうか? 一分会、何を言われようと、どんな事態が、来ようと
も。 教授会は、この資料の事。 全く知らない! を、断固、続けた。


面白い。 と言うか、不思議なのは、一分会のメンバーは、元より。 二十九
期の誰一人として、これを、可笑しいと、言わなかった事だ。

言わない所じゃ無い。 一分会は、軌(き)を一にして、この虚構を、守った
のだ。 可笑しいぞ。 考え直せ。 と言ったのは、ワシ、一人だった。


 *      *      *


< 虚構だから、いろんな不具合が、起こった >


まず、こんな事が、起こった。 補綴だった。 ビッグリバー教授。 テスト
で、解答率の悪い問題の、解説。 してたんだ。

教授、類題に言及されて、君らプリント、貰っただろ? あれ、出して呉れな
いか? 学生、誰も身動きしない。 一人の女の子、へんな口調で、言った。


先生、何のプリントですか? わたし達、何も貰ってません。 何の事だか
わたし達。 さっぱり、判りません。

講義室。 白けた空気が、流れた。 教授、意味が、判らない。 そこで、
おいっ、一分会!  みんなに配れと言って渡した、プリント。


あれ、どう、成ってるんだ?


一分会、返事しない。 返事、出来ない。 教授、いよいよ不審がり、

おいっ、一分会、返事しろ! どうなってるんだ?

講義室。 誰も、反応しない。 そんな感じで、教授の問題の解説、

変な、終わり方をした。


 *      *      *


次の日だ。 ワシ、教授とトイレで、ばったりと、会った。 つれしょん、し
つつ、教授。 昨日のは、ありゃあ、一体。 何んだったの?

あれはですな、とワシ、一分会の虚構、説明した。 教授あきれて、アホかあ!


ありゃ、教授会が、渡した物だぞ。 それを、教授会は知らない、だ、なんて。

そりゃああ、よっぽど、ずれてるよ!


教授。 すぐに一分会を呼んで、それは可笑しいと、厳重に申し渡した。
一分会の、一人。 叱られましたと、ワシに言った。

だけども、だ。 だけどもボクら、やっぱ、教授会は、全く知らないで、行き
ます!  言うから、ワシ。 名状しがたい気分が、きざした(兆した)もの

だった。 そりゃあ、まあ、君らの勝手。 では、有らうがね。


 *      *      *


ところがだ。 さらにだ。 こんな事が、起こった。

我らの次の学年は、第三十期だ。 二十九期の次が、三十一期でも、あるまい?

この学年。 過去、最大級に、熱心な学年で。

この時。 つまり、一年早く、彼等の五年次に、卒業委員会を発足、させたの
だ。 そして、我らのプリントの余り。 彼ら、手に入れて、

欲しい人。 申し出て下さい。 お分けします。


でかい張り紙。 階段の横に出すんだもの。 大笑いだよ。 ホント。
これじゃあ、プリント、大学へは、絶対に持参するな! も、ぶっ飛んでしま

う。 なのに一分会。 微動だにせず。 ボクらはやはり、教授会は、全く知
らないで行きます! てんだから、ワシ、言葉を、失った。


諸君らは、どう思う? 戦略が拙い(まずい)んじゃ、ないか? と、言い続
けたワシが、間違っとる、んだろうか?

それとも、諸君らは、一分会の行き方に、賛同する、のだろうか?


 *      *      *


卒業してからだった。 ワシ、お茶の席で、ある先生に、この問題。 ぶつけ
て見た。 その先生は、笑うだけ、だった。

ワシ、日本が先の大戦で、勝つ見込みの、全く無い戦争。 何で始めたんか?
その答えの一つ、見たように、思える。 と言うと、


先生、お笑いになって、大袈裟な! と、叫ばれた。

だけどね。 きゅう(丘の横に、コザト偏)永漢なる人物。 日本人の、中国
経済の批判に反論して。 日本だって、国税収入。 五十兆円しか無いのに、

毎年、毎年、八十兆円を支出してる。


その差、三十兆円は、赤字国債で、積み上げとるやないか! こんな矛盾を、
どうしても、どうしても止められない。 ちゅうのに、中国経済の悪口、

言うな! ちゅうて、やり返しとったね。


日本は、またしても、とんでもない破滅に向かって、進んでいる。 のだろ
うか? はっきり、してるのは。

この方向に、責任者が、何処にも居ない。 ちゅう事だ。 誰も、責任者じ
ゃあ、無い。 先の大戦だって、同じだ。


東條英機氏も、責任者では無い。 あの開戦は、開戦の方向、しか許さない。
一種の空気の、圧力。 みたいな物が、開戦まで、日本を押し出した。

我が、一分会。 教授会から貰った、過去問。 教授会の、知ら
ない資料だ! の虚構。 絶対に、止めない。 止められない。


しかも、批判したワシに、反感の目さえ、向けかねない、気配。 これは、
日本人の感覚に潜む。 ある種の、傾向、ではある。

そこでは、正気の議論。 存在しない。 何が正しいか? 正しい進路は、
何か? なんて議論。


どうでも、よくなる。 むしろ、仲間内の気分、雰囲気に。 合うか? 合わ
ないか? が、優先する。 それ以外。 どうでも、よくなる!


 *      *      *


突然ながら、

財務省が、日本の利益より。 テメーらの、省益、さらに進んで、テメーの課
の利益を、優先させる。 それに似た空気が、そこには、充満しとった!

今の財務省なんて、日本が、どうなろうとも。 自分たちが無事なら、それで
良い! の気分に、成っとるんや。


大袈裟かも、知れんが、ワシ、この、一分会の行動を、この目で、間近に目撃
して。

こりゃあ、彼らの問題。 と言うより。 日本人の、原(げん)精神の、構造
問題。 じゃあ、なかろか?  と、思ったのさ!


これが、何一つ、変化してない以上。 我らの国は、この先、何度でも、馬鹿

な戦争に、突入し。 痛い目に、会う。 ちゅう事、だっせ!


戦争の語。 必ずしも、どんぱちの戦争、ばかし、では無い。 経済と、外交
の戦争も、今どきの世界。 立派に、戦争だい!

我らは、ズーッと、負けてるんじゃあ、ないのか? アメリカに、ここまで資
産を、吸い取られ。 中国と韓国には、恐喝を喰(く)わされ。


その上、だぞ。 人口は減る。 働き盛りの若者は、居なく成る。 町が、
じじ、と、ばば、で、充満する。

国民の経済。 そんな時代に、突入しとるのに。 歯科医師の数。 ますます
増え。 パイは、縮んで行く中で。 我ら歯科医師。 人海作戦じゃあ、

あるまいに。 うんかの如く。 この国へ、歯科医院を、増やして行く。


年金も、簡保も、健康保険も、すべてが、すべてが、破局を、予見しとるなら
ば、それも良しと、しよう!

問題は、それに、合わした議論。 不可避の時じゃ、言うのに。 一分会の気
分。 議論、拒否じゃ。


ワシは、破滅もまた、それなりの、人生だ! と、覚悟。 決めとるが。

その、議論の、出来ないのが、詰(つま)らん! 言うとるんじゃ!


我ら、もうちょっと、議論の出来る歯科医師に、成らな、あかん!

と、思うがね。 一分会の、この行動を。 ワシは、深刻に、眺めてたのだ。

本を読んでると、書いてあった。


議論の出来るのは、慶応まで。 それ以下の大学は、議論が出来ない。 と言
うより。 議論に、成らないんだ、そうだ。

一分会は、明海大だ。 議論が、出来なかった。 すると、我が明海大は、
慶応、以下だな?


 *      *      *


ここで、ちょい。 ワシの、個人的な体験を、書く。

高校時代じゃった。 京大へ行った連中は、議論に成るんよ。 東大組は、
議論に、成らんのじゃ。 あいつら、議論を吹っ掛けると、わぁーっ!


言うて、逃げてしまう。 あっちへ、行ってしまうんじゃ。 これじゃあ、
議論が、出来ないわ。

これが、京大以下だと、同じ議論でも、変な調子に成る。 例えば富山大だ。
昔の、二期校だ。 ここへ行った同級生と、議論すると、


最近、バカ売れ。 小林多喜二の本、蟹工船。 その小林多喜二は、警察で、
武士として、丁寧に扱われた、のであって、拷問死では、ない! と強情に、

言い張るんよ。 諸君、ここは少し、思想を除外して、読んでくれ。 つまり
彼は、出世主義者だもんで、それに合わせて、体制側に、よいしょ!


してる積り、なんね。 彼との議論。 何か、一分会との議論と、似てないか?
それって、いわゆる、為にする、議論。 だわな。

その後、彼を抜いて、話したんだ、けど。 諸君ら、知るか? 当時の警察。
共産党の大物を、逮捕に行くだろ。 すると共産党の幹部。


ソ連から密輸の、ブローニング。 持ってるんよ。 それを、警官に向けて、
バンバンするから、四十名を越える警官。 仏様に、されちまってるんよ。

諸君らは、それ、知ってた? でも、共産党の人間が書くと、そこの部分。
書かんのね。 小林多喜二が、警察へ連衡されて、拷問を受けて、


死んだ。 と言うか、殺された部分を、どぎつく、強調して書く。

それって、ずるいよね。 歴史を、書き変えとる。 と言う、言い方が、許容
されたのは、京大組だけ、だった。

京大から、上も、下も、思想と感情と、好き嫌いに、引かれて、客観的な、
歴史の議論から、外れるんよ。

ワシは、正しいとか、間違ってるの議論。 してんじゃ無いよ。 事実を、そ
のままに、正確に、見よう! と、してる、だけ、なのだ。

だから、ワシが間違っていたら、遠慮せずに、間違っとるやないかっ! 言っ
て呉れ。 君が、正しければ、なるほど。


すんませんでした。 間違えました。 と、ワシ、言うでえ!


ま何だ。 たった五名の体験を、普遍的に言うのも、おこがましいがね。
だけど、一部分。 本質ではなかろか? 六十一才の今、訂正の必要。

特に感じないからね。


ノーベル賞、京大卒。 断トツに多いのは、その辺が原因かな? とワシ、
勝手に、思ってる。

一分会の、自分の立場に、引き寄せた議論。 まああ、明海大のレベルから言
って、仕方ないかな? って思う事に、しよう。

それともこれ、現代の若者の、傾向かな?


 *      *      *


< 2008年。 最近の、ワシの、心配事 >


本屋へ、行ってみよう。 日本の破滅。 破産を予測する本。 対策本と
共に、ごっつう、並んでる。 現在、平成20年。 西暦の、2008年だ。


年金は、絶対に、行き詰まる。 簡易保険は、払い込んだ金。 何処に在る
んだ? 三本の、本州四国、連絡橋は、維持費を稼ぐのが、精一杯だし、

東京湾、アクアラインも、簡保や、郵貯の資金。 財政投融資の形で、注ぎ込
まれて、完全に、しこってるぜ!


簡易保険の支払いなんて、もう、出来ない事。 明々白々なのに、世の中。
誰も、騒がない。 ワシ、十年後。

2018年。 日本が、どうなってるか? に、興味、深々だよ。



歯科医師、諸君! 景気が悪くなると、歯科医師の収入。 がた減りするの。

経験済み、だろ? 2008年。 景気の悪化で、派遣社員の、契約の打ち切

りが、ニュースを、賑わした。


ワシ、あれ見てて、思った。 派遣社員では、自費は、せん(しない)

だろう、なああ。 と。

保険の治療と、自費の治療では、歯科医師の利益。 十倍の違い。 有るから

な。 それにさ。 自費の治療。 こっそり隠して、税務申告。

チャラに出来る。 イヒヒッ! ネコババして、隠せないものは、歯科医師の

優遇税制、だからなあ。 開業して、自分が、これを、せな(しないと)。

あかんよ。 ホンマ。 勤務歯科医は、院長の収入。 指咥(くわ)えて、見

てるだけ。 だもんねえ。


でもこれ、自費の治療が、有っての話。 だよ。

自費が無いと、歯科医師してても、面白く無い! そうだろ、ご同輩!


 *      *      *


ちなみに諸君らは、きゅう永漢を、知っとるか? この人、父が中国人で、
母は、九州生まれの、日本人。 台湾人なんだが、日本の国籍も、持ってるん

かな?

東大は、経済学部卒。 小説で、直木賞を受賞。 株の売買に優れ、金儲けの
神様。 と、呼ばれた人。 この2008年でも、アジア全域で、

巨億の事業。 現役で、してる方よ。


著作が六百冊? 八百冊? とに角、2008年の今。 現役で、毎日、文章
を書き、オンラインしとる。 こんな有名人、なんに、明海大歯学部で、

知ってた学生、ゼロだった。



ある時、女の子に、聞いたんよ。 するとだ。 きゅう永漢? は、勿論。

松下幸之助って、誰のこと? 古橋? ふじ山の、飛び魚? 何の事? 誰れ
の事?  そんな人、知らないよ。 に、始まり。

本田宗一郎って? だれよ、その人? 田中角栄? ロッキード事件ですよ。
ロッキード事件って? それ、何あに?

だったのです!


田中角栄を、知らんのか?

立花隆くらい、知ってるでしょう。 さあー? じゃあ、五島慶太なんて、
知るはず無いよね?  ハイッ、知りません。

丸橋賢(すぐる)は? それ、なにしてる人? 歯医者さんですよ。 わたし、
そんな先生、知らない。


じゃああ、西郷隆盛は? 知ってるよ! 上野に銅像が有るわ! 伊藤博文?
知らない。 お札に、出た人ですよ。

夏目漱石は? ううん、チョット待って。 聞いた事、有る。 今東光は?
その人、落語家?

てな、調子。 なんです、なああ。


日本の教育。 どっか、間違ってますよ。 でも、そんな事。 知らなくて

も、歯を削るのに、別段、困りはしませんが。

一分会の石頭が、偉い所まで、来てしまった。 わいっ!


 *     *     *


< 患者の感覚。 十年で、様(さま)変わり、した >


十名程の学生を相手に、ある古い先生。 診療の時の、手袋の話、した。

君らは、考えも無く、当然の様に、手袋するけどさ。 ボクらみたい、
古い人間が見ると、それって、世の中が、逆転したくらい、ビックリもの、

なんだぜ。


なにしろだ。 たった十年前だよ。 先生が、治療で、手袋するだろ。 患者
から文句、来るんだ。

わたしは、奇麗です! ご心配なく! これじゃあ、手袋なんて、して、らん
ないよ。 だから当時は、先生みんな、素手で患者に触ってた。


一番良い例が、山本歯学部長だよ。 口腔外科の手術が、だよ。 驚く無かれ、
当時は、素手だぜ。 今なら怖くて、尻込み、しちゃう。

あの先生、この大学来て、二年目、だったかな? 患者からB肝(B型肝炎)
貰ってさ。


二年ばか、寝たきりの入院だ。 劇症肝炎に、成ったんだ。 古い歯科医師が、
よく六十歳前後で死ぬの。  たいてい、肝炎が、背景にある。

そこへ、過度の、お酒なんかが、作用すると、肝臓、早めに、いかれちゃう。
歯科医師の早死、多いんよ。


 *      *      *


十年前から、患者の意識、はっきりと、逆転した。 最近じゃあ、先生が手
袋しないと、患者、文句言うからね。 まあこれが、本当なんでしょうがね。

ボクみたい、補綴の仕事してて、古い時代の人間。 手袋、うざるこいんで、
良く取ってしまうがね。 これも、余り、良い事じゃないよ。


肝炎、恐いしね。 この大学の先生。 80%、肝炎に、罹患(りかん)、し
とるからね。

君らも、予防注射、したからって。 安心、すんなよ。 先生が患者から、変
な病気、貰うだろ。


自分は不顕性(ふけんせい。顕れないで終わる感染)なんに、奥さんが、偉い
目に会う事例。 少なく無いからね。

患者からの病気。 奥さんに、移しちゃうんだよ。 奥さんが、七転八倒の
苦しみを、する。


用心、しろよ!



< サントリーのお茶、のほほんを、明海大学から、撤去せよ >


学生。 軽食堂に集まって、駄弁る(だべる)、サボる、お茶を飲む。

問題は、そのお茶だ。 ワシ、軽食堂のオバサンに、因縁、付けたね。
ここの学生、のほほんとしたのが多い。 その、のほほんに、お茶、

のほほんを、飲ませれば。 のほほんの、二乗に成るや、ないか! って。


サントリーのお茶、のほほんは、撤去すべし! ワシは、本気だったのに、
オバサン軍団。 あははははっ! 言うて、鼻で、聞くんよ。


 *      *      *


大学時代は、何かと言うと、集まって、お茶だ、コーヒーだ。 自販機の缶コ
ーヒー。 大学時代にワシ、何ぼ(なんぼ)? 飲んだか?

卒業して、訪問診療やらされて、一軒終わる毎に、コンビニで、缶コーヒーだ。


相棒とお喋り、手に、缶コーヒー持たないと、間が持てない。 アクセサリィ
ーみたいな、缶コーヒー。

一日、な、何と、六缶を越した。 これが週三回。 一年で、な、何と、六百
五十缶だ! この数値に、ワシは、ビビッたぞ!


この費用。 七万二千円だぜ! げに、付き合いは、恐ろしい。 チリも積
もれば、山と成る。

積善の家、必ず余慶有り。(せきぜんのいえ、かならずよけいあり) 関係、
無かったか? 知性の、有り過ぎるのも、問題じゃ。 冗談。


さて、ワシの缶コーヒーは、必ず、無糖。 若い先生のは、見てると、加糖だ。
でも、用心すべきは、無糖の、表示だ。

或る数値、以下なら、無糖と表示して、良いのだ! 無糖だからと、安心して
ては、いかん。 あれにも、砂糖が、含まれとる!

むしろ、油断して、虫歯、作るかも。


口に入る、砂糖。 濃度が、濃くても、薄くても、十分後の口の中の濃度。
大して、変わらん、のだ!

唾液の洗浄作用で、濃い砂糖水も、薄い砂糖水も、同じだけ、残る。 これ、
知って置いて、損しない、知識だ。


砂糖の含まれた水分を、口に入れれば、最低限。 うがい、せよ! その時、
舌面に、大量の糖分が、残る。

ブラシを携行して、軽く除去するのが、望ましい。 ブラシを、さむらいの
刀(かたな)みたいに、肌身、離さず、持ち歩く癖(くせ)。

付けたい、ものじゃ。


 *      *      *


ある時、ワシ。 同行の若い先生に、聞いた。 先生! 朝めし、喰って来た
の? 返事。 朝めしって、なあに?

朝は、何を喰っとるんじゃ? つまりだ。 朝、病院来る前に、何をお召し上
がりに、なってますか? ってんだ!


ボクは、起きると直ぐに、缶コーヒーをカップに注いで、チンして飲みますね。
その後、コンビニで(菓子)パンとお握り一個。 健康を考えて、野菜ジュー

ス、飲みます。 ここの勤務、昼の一時まででしょ。 患者が、残ると、一時
が、二時になりますからねー。 時間、不規則なんで、食事も、不規則に、

成り勝ち。


ですんで、腹減ったら、適当に駄菓子か、コーヒーで、ごまかし、ますね。
それから、さあ。

ここの院長、ズルイですよ。 午後の五時は、お腹、一番空く時でしょ。
院長、いつも帳面見る振りして、台所行って、カステラの大きいの、パクつい

てんですよ。 あのカステラ。 鍵の掛かる戸棚に、隠してんですよ。
ずるいと、思いません?


ボクらには、そんな真似。 絶対、許さないのに。 久治良先生、知ってまし
たか?

知らいでか! (知ってるよ、の意) こんな具合に、歯科医師の食事、恐ろ
しく、不規則だ。 夕方の、六時、七時。 空腹で胃が、キリキリと痛む。


若い先生は、甘い缶コーヒーで、飢えを、しのぐ。 ワシは工夫して、色々
実験したが、ジャガイモの蒸かしを一個。 腹に入れるのが一番、身体に優し

かった。

これを、トイレ行く振りして、便器に座って、パク付くんじゃ。 くさい話、
だと、思わんか?


駄菓子は、あかんな。 砂糖が、入っておる。 それに、歯に、こびり付くか
ら、歯磨きが、必要に成る。 そんな時間、有るかいな。

かと言うて、磨かずに居ると、歯を痛める。 駄菓子は、良くない。


 *      *      *


ワシ、当時、五十七歳。 アパートに、夜の九時ごろ帰り。 風呂へ入って、
一息付くと、十時に近い。 ここで固形物を胃に入れるの、良くない。

ビール一本。 ご飯、代わり。 酔っ払って、そのまま布団。 血糖値、
序々に、悪化、して行く。


歯科医師の生活も、それ程、羨ましいものでも、無い。 若い先生なら、外
へ、飲みに出る、んでしょうがね。

五十七歳では、早く寝たいだけ。 では、おやすみなさい、まし。


次の段は、一分会の、さらなる、話題。  それも、これも、一眠りの後に、
書くと、しましょう。

では、失礼して。 おやすみ、なされまし(なされましょう)。 グー!



*      *      *



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