* 裏本 五十歳、歯学部へ行く。( 体験記・医療系 ) * * *   < kujila-books ホームへ帰る >

< この本の ホームへ帰る >
< 前のページへ帰る >
< 次のページへ進む >

 人生に免疫力無き方、読む事なりまッせん

第 1 章 * 5 / 5
我が29期の卒後十年目
<ブ〜フ〜ウ〜子の三人娘ワイ談す>



そもそも猥談(わいだん)とは我ら、
源氏物語よりこっち、
おの子のするものなりと先入観しとった。
心して革(あらた)むべし。

だけど二十代前半の女の子がよ、
彼とのチョメチョメ事(ごと)をだよ、
おくめも無く男の前で語るのがよ。

良いのか悪いのか?
判断しかねるよなああ〜。

某書にいわく。
おなごのあそこ見る物にあらずして、
撫(ぶす)ものなり。はたまたあれは、
語るものにあらずして、するものなり。

参考になる向きは参考にされたし。



*     *     *




< ブ〜フ〜ウ〜子の三人娘、ワイ談す。>



この三人娘を想い出す度に、世の中、変わったあと、つくづく思って
しまう。

この三人娘、男が周りに居る、その中でだよ。 清談ならぬ性談を、
抜かされたのであある。



ま、こんなのに驚いてるワシの方が、時代と世間から取り残された、
化石人間である証明なんでしょうがね。

最初はブ〜フ〜ウ〜子では親分株の、ブ〜子ちゃんのお話だ。 彼女
大した美人では無い。 グラマーってわけでも無い。



なのに、やけに持てた理由は、その草原の様な大らかさだったかも
知れぬ。 その大らかさにて男の子にも女の子にも持てた。

彼女、何でも入学早々、出会いの会なるものに参加したそうだ。
それが驚きなんだ。 そんな出会いの会は、



たいてい男が料金を払い、女の子はロハですから、連れ立ってドン
ドン来て下さいってのが常識だと、ワシは思ってた。 違うのだ。

ブ〜子の参加した会、女が参加料五万円也。 男は無料だとう?
つまり女の子が男に出会う会なのだ。

そんな会が有るのかと、ワシ、正直、驚いた。



それじゃそんな会へ来る男の子、余程(よっぽど)上等の男に限定
かと思いきや、

フリターも来てたわよとブ〜子。 至って暢気(のんき)なもの。
実際、彼女がその会で見付けた男の子、

フリーターなんであある。



歯学部の女子学生がよ。 何処の馬の骨とも知れぬ、フリーターの
男の子をだよ。(ここ文句来ると言われたが)

そんな出会いの会にて見付けたなんて、ちょっと、外聞をはばかる
のではなかろかと、ワシは思ったのだが、

本人は至って平気。



つまりブ〜子、歯学部へ入学するや、お遊び用の男の子を一匹見付
けて、卒業まで飼ってたわけだ。

そうとしか言い様が無いでしょうに。 卒業が接近した頃、その
男の子と如何にして別れるかの話題ばかし、してた。



何でも男の子、ブ〜子に痛くご執心で、別れたく無い、結婚したい。
ブ〜子と一緒に、どこまでも行きたいとの事。

我ら横で見てて、大丈夫かしら。 何か変な事件でも起こるんじゃ
ないかと心配してたものだ。



   *       *       *



上記性談の頃は、ご両人。 卒業なんて気にしなくて良い頃で、
熱々(あつあつ)のオマンコ青春に没頭の期間だから、

もうブ〜子、身をくねらせながら、仰向けの彼に跨(またがっ)て
インサートしたまま腰を揺らして居ると、




気持ち良(よ)〜て、気持ち良〜て、たまらんッ
なんぞと申されし。




フ〜子とウ〜子、これを聞きて、キャアア〜ッ
と嬌声挙げて大はしゃぎ。

男の子らは顔を合わせ、当てられた様な表情するのみ。 いやはや、
これ男女が逆ですよ。



かっては男の子が、女を囲(かこう)て遊んでたのです。 今や女
の子が男の子を囲うて、

オマンコ遊びに耽(ふけ)る時代です。 そのセックス場面の寸描を
男の耳の有る場所で抜かれたのでです。



   *       *       *



これ聞いてたフ〜子、負けては居れぬとばかり、ご自分のセックス
ライフの一場面を語り、

一座の興に添えられたのでありんす。



フ〜子いわく。 わたしはカーセックスが一番だと思うわ。 助手
席で彼の膝の上に座るのよ。

後ろからインサートして貰って、両手で、胸とあそこをペッティング
されると、ホント、物凄く行け行けに成るわよ。



もう二時間ぐらいは、アッと言う間ね。 ヘトヘトに成っちゃう。
満足度、百パーセントだわ。

ブ〜子ちゃんも試してよ。 病み付きに成るわよ。 彼のを二時間
くらい入れて貰ってると、下半身が悦びで麻痺しちゃう。

ホントよ。 刺激、物凄いから。



   *       *       *



このフ〜子ちゃんの彼は、いわゆる、年下の男の子。 ご愛称を
ハ〜君、言いましてナ。

フ〜子は、おちびちゃんなのに、ハ〜君の方は長身の好青年。 だけ
どね。 ワシの観た所、ご両人に縁は無し。



実際、フ〜子の六年次。 ハ〜君が忌避(きひ)する感じにて、ご
両人は別れた。

あれは我らの四年次だったかな。 休憩時間に講義室前の広い廊下
をボンヤリ歩いとると、



腕をこずかれた。 久治良さん見て下さいよ。 あれがフ〜子の彼氏
ですよ。

言うので見ると、小さいフ〜子、大きいハ〜君に説教垂れてるが如き
景色(けしき)だ。



フ〜子としては年下の男の子のハ〜君を、上手に操(あやつ)ってる
つもりなんでしょうが、

二人が立ってる姿を眺むれば、とてもとても、恋人の感じは無い。
まるでお母さんが、出来の悪い息子を叱ってる風情。



ワシの指摘にその学生、なある程。 そんな感じもしますね。 とこ
ろで久治良さん、あの二人は結ばれるでしょうかと聞くから、

ワシ、まあ、あの感じでは、あかんねと答えといた。



   *       *       *



こんな事も有った。 五年次だったかな。 臨床実習の最中(さなか)
と記憶す。 臨床グループでコンペした時だ。

大宮駅横の、かなり大きな、グランドピアノでモーツアルトなんかを
演奏しとる、気の利いたレストランだった。



それは良い。 問題は終わってからよ。 大宮駅に出て電車を待って
たのだ。

フ〜子の実家は東京である。 我らは坂戸へ帰らねばならぬ。 当然
待ってる電車は逆方向の筈。



なのにフ〜子、我らと同じ電車の前に居る。 ありゃ君は東京じゃ
なかったのかと、ワシが言い終わらぬ内に、

八万円に腕をこずかれた。 八万円とは彼の眼がねが水晶でな。
八万円したそうだ。 よって愛称も八万円。



そいつがワシの腕をこずいて、駄目ですよ久治良さん、言うて、目
くばせする。

つまりフ〜子は、実家に帰らず、彼のアパートへ行くって事。
夜の九時だぜ。 こんな時間に男の部屋へ行って、

何をする気だ?



   *       *       *



気の利かぬのが、ワシの長所である。 八万円に腕をこずかれたのは
遺憾であるが、

まあ恋人しとれば、ああ言う事を、するんでやんしょ。



だがワシ、フ〜子には賛同しかねる気分が残る。 まずハ〜君を
自在に操縦しようとする感覚が気に入らぬ。

ハ〜君、交際中はフ〜子に自由に操縦させといて、いよいよ別れる
と成れば、距離を取りて、上手にバイバイだ。



フ〜子と言う女と暮して見ると、その底意地の悪さに、やや辟易す。
その辺をハ〜君が見抜いて、

楽しく遊んだ後は巧みにすり抜けて、上手に関係を斬ったのでしょ。
傍で見てると、その辺が面白い様に見て取れる。



その辺を見抜けないのが、フ〜子の問題だ。 フ〜子、気に入らぬ
学生が居ると、しばしば嫌がらせする。

あれでは男は離れる。 男から見て、ああ良い女だな。 こんな女と
一緒に暮らしたいなと思えない。



女は顔では無い、スタイルでも無い。 しかし顔もあればスタイル
もある。 その辺の機微は臨機応変なれど、

フ〜子にすれば、あんなに上手く操(あやつっ)た筈の男に振られた
その腹いせから、

気に入らぬ学生に嫌がらせした積りなんでしょうが、



これが実に良く無いのだ。 理由が何であれ、嫌がらせの出て来る
心が、男には疎(うと)ましい。

女たる者よ、男は貴方の心根を見て居りますぞ。 人間ちゅう者は
自分の事は判らぬのに、

他人様を見抜く点では、天才です。



美しい心こそ、有らま欲しけれ。 男は結局、最後はその心にこそ、
ほれるのです。

その点でフ〜子は落第です。



   *       *       *



ある時でした。 フ〜子、ワシに結婚運を見て呉れと、のたもうた。
そんなもの観なくても判る。

君は能動的だから、どっかで彼を見付けて結婚するでしょ。 でもね
誰と結婚しようと君は、家庭内離婚と成る。



心の底の意地悪さが、嫌(いや)も応(おう)も無く、何時の日にか
噴出して来て、そう成ってしまうのです。

そして君は、子供の教育なんかに異常な熱意を示す、絵に描いた様な
教育ママに成るでしょ。



そうと決まれば、そんな人生をするのも、一興ではないですかと、
ワシ、言うたのであるが、

フ〜子、理解したかどうかは、ワシャ知らぬ。



以上にてフ〜子を終える。 次はブ〜子とフ〜子の話に、すっかり
上気したウ〜子の、ロクでも無い打ち明け話へと、

進むのでありました。



***************************************************************



< ウ〜子の馬鹿話。>



ブ〜子とフ〜子のエロ話にすっかり上気したウ〜子、取って置きの
経験談を、恥ずかし気も無く開陳するのであった。 いわく、

あたしさあ〜、彼と江ノ島の海水浴場へ行ったのよ。



ウ〜子と彼の熱烈な愛は、我ら29期の語り草に成っておる。
その位、激しき営(いとなみ)だったわけだ。

ウ〜子、早くもうっとりした表情と成り、わたし達さあ〜、一緒に
沖合いまで泳いで行ったのよ。



そしたら彼、あたしの事、愛撫するのよ。 海岸から離れて、足の
立たない深い沖でよ。

あたし、息が荒くなっちゃて、仕方無いから彼にしがみ付いたわ。
彼ったら、あたしの水着を毟(むし)り取るのよ。



彼が、どんどん愛するから、わたしって必死でしがみ付きながら、
恐っそろしく感じちゃったわ。

もう自分がどうなってるか分らない位に ・ ・ ・



彼、やがて、勃起したあれを、あたしに入れて来たわ。 それまで
彼とは何百回も何千回もして来たけれど、

あんなに行った事って無かったわ。 その位に感じちゃったのよ。
彼が行った時、物凄い衝撃があたしの体内に放出された時、



あたしはホントに、悦びで、悲鳴を上げた位よ。 嬉しくて嬉しくて
彼がいとおしくて、いとおしくて、

あんな気分って無かったわ。



ウ〜子がここまで来ると、傍に座ってたブ〜子とフ〜子、当てられた
みたいに、きゃあ〜ッ、きゃあ〜ッと、

悲鳴を上げるのだった。 男の子ら、あっ気に取られて声も出ず。



   *       *       *



ウ〜子と彼、岸へ帰らねばならぬ。 そしたらあたし、水着を付けて
無いのよ。

ねえどうする? 仕方無いから、右手で胸を隠して、左手はここん
とこ隠して、車まで彼の後ろ、走ったわ。



周りに人は居なかったの? フ〜子だった。 居るわよ。 その人達
凄い歓声上げるものだから、

あたし、穴が有ったら入りたかったわ。 もう全身、真っ赤になっ
たわよ。



彼の車に飛び乗って、とにかく身体を隠す物、探したわ。 もう本当
に、恥ずかしくて恥ずかしくて、

あたし泣いちゃったわ。 そしたら彼が、あたしを優しく抱いて呉れ
て、あたし、幸せの中で泣き崩れちゃった。

と言うお話しでしたとウ〜子が言えば、



ウ〜子の周りの女の子たちから、期せずして拍手が起ったのだった。
男の子たちは、あっ気に取られ、口あんぐりが多かった。



***************************************************************



でもねえ、ワシはこのウ〜子の恋愛を好かんかった。 明海大学
歯学部の正面玄関の前は、T字路である。

真っ直ぐ大通りを下(くだっ)て行けば、理髪屋に突き当たる。
しかしこの理髪屋、廃業した。



一回千円余のデスカウント理容に押された結果である。 しかし
我らの頃は店を出してた。

あれは一年次の二月だ。 午前中に期末テストがあって、昼メシ
喰った後、ワシは、ボサボサ髪を退治すべく、

その理髪店の椅子に座ってた。



頭を刈ってもらい、料金を払い、さて帰宅しようかとガラスドアを
押そうとした、その時だ。

前方の下り坂を、ウ〜子の手を取りて、彼氏たるミヤさんが、大また
で歩いて来るではないか。



ミヤさんは、さしたる身長でも無い。 ウ〜子がチビ助なんで、
大きく見えただけだ。

ミヤさん、大股でズンズンと歩く。



ウ〜子、小走りに成りつつ、必死で追いすがりながら、その目は、
何かまぶしいものでも見上げるかの様に、

時々、上目使いに、ミヤさんを見上げるのだった。



その日のウ〜子の出で立ちたるや、黒の薄いシャー地とでも言うの
か。 ワシは上手く表現出来ないが、

恐ろしくステキで、如何にも若々しくて、そしてかなり怪し気で
セクシーな、そんな出で立ちだった。



普通なら、こりゃ、青春の輝きそのものでこそあるが、見てたワシ、
思わず言ってしまった。

アッ、こりゃこの二人。 やがて別れるナ。 ウ〜子、ミヤさんとの
縁は無い。 ウ〜子、アホな男と付き合ったナ。



   *       *       *



だからワシ、次の日に、大学の廊下で、ウ〜子を捕まえて、この所見
を言うたのだ。

君はミヤさんに、お熱を上げてるが、君と彼とは、ベクトルが別
方向だ。 やがて別れるだろ。




その辺を考えて付き合ってないと、泣きを見るよと。




ウ〜子の反応は、ニンマリしつつ、確信めいた口調で、いいえ、
あたし、あの人と、添い遂げて見せます。



   *       *       *



後に聞くと、彼らは三年間で別れたそうだ。 理由は、ウ〜子に直接
聞いた。

最初、彼女は言うのだった。 あの人、あたしの親が離婚してるから
そんな離婚した両親の子とは結婚出来ないって言うのよ。



だけど話を聞いて行くと、別の理由が出て来た。 あの人、あたしと
付き合いながら、別の人とも関係してた。

つまりミヤさん、ウ〜子と関係しつつ、同時に別の女が居たって
わけだ。

これでは関係は壊れる。



その別の女も、明海大学・歯(は)の学生だと言うから、ミヤさん
中々の馬力には違い無し。

その二重関係は、一年弱、続いてたと言うから、ウ〜子もトロイ
ものだ。



とにかく、そんなこんなで二人は別れた。 ミヤさんは我らの一年
上である。

卒後、付属病院の口腔外科に残った。 我らが臨床実習で行くと、
彼と会うわけだ。 あれは少々、いやらしかった。



ウ〜子、どんな顔してるかと見れば、務めてそ知らぬ風情である。
問題はミヤさんの方でナ。

何とも言えぬ顔をしてた。 ワシ、それは注意したかった。
ミヤさんの顔、明らかに未練たらしかった。



これは彼の将来の為に良くない。 断然キッパリ、捨像すべきで
あった。

一説に依ればミヤさん、ストーカーまがいの所見が有ったと言うが、
それは女の子らの、尾ひれ胸びれであろう。



いずれにしても、そんな噂(うわさ)の出るよな態度をしてては、
いかん。

李下に冠(かんむり)を正(ただ)さずと言うではないか。
前途の有る青年だ。 しかるべき生き方をせよ。



***************************************************************



この章はこれにて、一応、お仕舞いとす。 29期の続き、
第四章にて再開す。









*       *       *


< 前のページへ帰る >  *  < 次のページへ進む >

< この本の ホームへ帰る >


< kujila-books ホームへ帰る >



* 


<  kujila-books.com  >