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第 五 章  3 / 6 

< 臨床実習は、お見合いか? >



< 臨床実習は、お見合いだ >


訳(わけ)知りの先生、こんな話をワシにした。

臨床実習はね、お見合いなんすよ。 五年次、六年次の女の子、医局へ回
って来る。 若い男の先生、世話をする。 連中、良い子居ないか?

って、年中探してますからね。

でもね、カップリング、意外と少ない。 その理由はね、売れ筋の女の子、
とっくの昔、みんなお手が付いて、しまってるからさ。 ハハハッ!


売れずに残ってる子、売れなかった理由が、有るわけよ。 その理由が邪魔
して、カップリング、意外に少ない。 なるほどねと、ワシ、うなった。


実習、若い男の先生、可愛い女の子の世話、楽しいに決まってる。 野郎の
面倒なんて、嫌ですよ! 助手、講師の先生、みんな女の子(だけ)を、

助けたい!

そんな風景。 ワシ、幾つも見た。 女の子は全体の、三分の一である。
なのに先生の世話。 三分の二になる。 いや、四分の三かも知れ無い。


ある男の子、ぼやいてた。 女の子と男の子、先生の扱い方が違う! の不
満、根強く有った。


ワシも差別は有ったと、断言す。 先生の中には、女に甘いと、名指しで苦
情、貰った先生も居た。 その先生、講義の中で、しきりに弁解してた。


女の子に好意的な先生、それでも一向に減ら無い。 ワシも卒業して、学生
の世話、しばらくした。 男と女の差別、一切しなかった積りだが、学生か

ら見て、どうだったのだろう? 聞かせて欲しい。 ワシは意識して、平等
に扱ったんだが。


 *     *     *


手塚治虫のブラック.ジャックに、こんな場面が有った。

手術の準備をしてると、助手のピノコ。 ほっぺた膨らませて、不服そう。
ピノコ、ぼやくのね。 先生は、若い女の子の手術だと、やけにハッスルす
る。

だからわたし、若い女の手術、嫌いなんだ! と。

ふうむ、ブラック.ジャックにも、そんな所、有ったのか!


歯学部にも口腔外科が有って、医学部と同じ手術が、行われる。 学生時代
何度と無く見学をし、術者の横に立って見た事も有る。

手術を受ける、女の、ふくよかな身体が、ほとんど裸に近い状態で、目の前
に有ると、ヤッパ心、穏やかでは居れんね。


余計な付け足しだけど、どんなに処罰されても、手術室で、麻酔下に有る若
い女に、けしからん行為に及ぶ医者。 根絶されん事実を、銘記すべし。

大学病院みたい、先生が、ごちゃごちゃ居る手術室は、安全。 手術室に、
先生と、若い女の患者だけが、危ない。


医師、歯科医師。 聖人じゃ無いからね。 デートクラブ、医師と歯科医師
が、九十%じゃない。


 *     *     *


そうだ、臨床実習のお見合いだった。 学生も、世話する先生も、結婚適齢
期。 ど真ん中だかんね。 鵜の目鷹の目、無理無いよ。

ある実習だった、時間が来てるのに若い先生、一人の女の子を捕まえて、離
さない。 女の子が解放されないと、残りの学生、帰れない。

様子見てワシ、先生に言ったのよ、


残念ですけど、あの子は彼氏、一年時から居るんです。

若い先生、エッ本当? あの子、良い子でしょ?  男、見逃しませんよ。

そうですか、彼氏居たんですか。 次の日から先生、その子の側にも行かな
い。 この先生、その時すでに三十二。 チョット、あわて始め、の頃。


歯科医師で結婚、三十代後半はザラ。 四十台で結婚も、珍しく無い。

つまり、歯科医師、結婚が、遅れ勝ちに、成り易い。



女の子の中には、結婚しない者も、かなり予想されるし。 我が二十九期も、
早や三十だ。 結婚して無い女の子、してる子を凌駕してる。

出産に至っては、赤ちゃん五名以下。 恐ろしい世の中だ。 今や結婚は、
難事だよ。 結婚しても、出産意欲、高くない。


 *     *     *


お見合い産業は、諸君等、良く知る処でしょうが、大抵は、男が金出して、
女は優遇されてる、ものだ。 医師、歯科医師の世界には、女が金出して、

男は只って言う出会い産業、有るんだぜ。


ワシ、ある女の子に聞いて、驚いた。 女、会費、五万円(だとよ!)。
医学部、歯学部の女性、限定だから、そんな場へ、出席できる男。

余程吟味された者に、違い無いと思いきや。 フリーターも居たわよ。
何んて、言うから、不思議だ。


一年次に出席して、出会った彼と、六年間付き合ってた子も居たが、ワシ、
時代やなあと、感嘆したね。 言うまでも無い、女の時代なんよ!

女がかっての、男の人生を、しとるのだ! 男は枕抱いて、みよこちゃん!
何て、言っとる時代なんよ!



普通に、常識的なお見合いパーテーも、勿論有って、こっちに一年次から出
席の女の子。 その後、どうなったのでしょうか?

男は医師、歯科医師限定。 女は自由。 会場、行くとね。 スゴイ美人が
ゴロゴロで、わたし正直、負けそうになった(そうである)。


と言う彼女。 スタイルは抜群。 中々の美人なんよ。 スチュワーデスと
か、一流会社のオーエルとか。 最初から選り抜きの美人ばかり。

わたしスミッコで、誰か話し掛けてくれないかな?  待ってたわ。


 *     *     *


歯学部の男子。 誰と結婚しても、何も言われない。 文学部? 声楽科?
理工学部? 高卒? 別に問題無い。

ところが女の歯学部卒、こうは行か無い。 相手、医者か歯医者に限定され
る。(もっともこれ、お父さん次第)


ある女性の歯科医師。 サラリーマンの彼、家に連れて行くと、お父さん激
怒。 何の為に、おまえを歯学部へ入れたのか? こんな男とくっ付く為で
は、無いぞ!

この親不孝者めっ! と叫ぶや、座敷机持ち上げて、娘の頭に、叩き落した。
これ本当に、有った話。


結婚なんて、したい、と思わ無い女性は、良いのだ。 問題は彼、彼と探し
求めてる女の子。 捜す範囲、大学の敷地の中。

これじゃあ、よほど幸運が無いと、あぶれます。 あぶれて三十を越した女
の先生。 とかく底意地、悪く成らざるを得ん。


前にも書いた如く、お父さん、自分の娘、安易に医学部、歯学部へ入れては
いかん。 少なくとも結婚運、調べてからにしろ。

歯学部へ入れたばかりに、女の幸せ、棒に振った例。 ワシの観察出来る範
囲でも、一つ二つでは無いぞ!


熟慮有るべし。 医師、歯科医師のお父さん!


 *     *     *


若い連中、食堂で集まって、大騒ぎだ。 どんな話、してんだろう? 興味、
大いにそそられる。 中身、報告するまでも無い。 他愛無いこと、下らな

い事、読者の方が、詳しい。


ある日だ。 昼食後の食堂だ。 すみっこに腰掛けて、彼等の話題に、耳傾
けた。 携帯電話の話。 機種がどうの、機能がどうの、デザインがどうの、

くだらんと言えば、くだらん。


なるほど、そんな使い方が、有ったのか! 新知識と言えば新知識。 それ
より何より、その場の雰囲気だ。 読者がもし、こんなグループの一員なら、

すぐ解る。 胎児に戻った様な、羊水に浮かんでる様な、ほんわかした、
良い気分だ。

そこへ異質の人間が来ると、酔ってた様な気分、立ちどころに壊れ、白々し
た気分に戻り、くもの子散らす様にみんな、四方へ行ってしまう。

やな感じだね、あれは。 ワシらの若い頃、グループ以外の、異質の人間。
侵入しても、雰囲気、別に、壊れたりしなかった。

異質の人も、異質なりに、座る場所、有った。


今の若者は違う。 雰囲気が壊れると、解散しちゃう。 仲間と仲間以外で
反応が変わる。 好き嫌いで、行動が変わる。 医療倫理、現代の若者に

は、無力だ。


これ、医療倫理の教授が、自ら言うんだから、間違い無い。 一般の人と話
すと、先生方は大学で、医療倫理を学んだんじゃ、無いんですか? 聞かれ
る。

そうだ、確かに学んだ。


テストの問題に、正解を出す為に、学んだ。 試験用に学んだ、だけです。
とワシは、答える。  寂しいけど、これが、事実だ。


 *     *     *


< 今の若者の、親しい仲間うちの会話。 村上春樹の本みたい >


村上春樹、日本どころじゃ無い、今や世界の村上春樹だ。 本 * 風の音に
聞け! 読んだ時、身体が震えたね。 次の本、待て無い位だった。

ピンボール、は良かった。 だが、羊を巡る冒険、には、がっかりした。


面白いのは確かだが、しかし、ありゃあ、エンターテイメントだぜ。

彼を読んでると、今の若者の仲間意識、そのものだ。 はなし、ゾクゾクす
る程、面白い。 雰囲気、とろけそうな感じ。

しかも、人生の決定的な言葉。 今にも、今にも聴けそうな感じ。 全編に
漂う。


だけど、どこまで行っても、どこまで行っても、出会いそうな、感じだけで
人生をパッと解らせる言葉。 遂に、出てこない。

春樹の物凄い思想が、今にも、次のページで、出て来そうな、そんな感じ、
ばかりで、終わってしまう。


彼の凄いのは、最後のページを読み終えた後、人生の最終的な思想。 この
本では出なかったが、次の本で、我らに、きっと提示して、呉れそうな感じ。

抱かせる所かも。 こりゃ、やっぱ、大変な作家ですわ!

結局、今だに、出て来ないんですがね。 沢山の評論家。 春樹のここに、
引っかかって、赤っ恥、掻きました。

最近は皆さん、用心して。 よいしょ、しません。


村上春樹。 そんな訳で、暇つぶしに最高! 若い連中の会話と同じで、ゾ
クゾクするよな、目くるめく様な、実に、下らん話。

彼の本、読んで、読者の世界観、変わる恐れ。 絶対に有りません。 だけ
ど、時間は、無限に、有意義な気分で、潰せます。

現代の気分に、春樹の本。 どん、ぴしゃり、なんすよ。



若い連中の、楽しい会話、耳にして、こんな感想。 抱いてみました。


 *     *     *


< 犬にも有る、馬鹿の壁 >


セパードでも、ラブラドルでも良いわ、訓練犬を連れて来る。 教える科目
百段、設定する。 最初の十段。 順番に教える。 

十段目、教えた頃、ワンちゃん。 一と二、忘れる。


しゃあ無い、また一に戻ってやり直し。 十まで行って、二十まで行くと、
ワンちゃん、最初の辺り、すっかり、忘れてしまう。

最初戻って、また、やり直し。 また、また、やり直し。 また、やり直し。


こうして、行ったり来たり、しながら、進んで行く。 賢い犬、やがて、百
段まで行く。  駄目な犬、二十か、三十で、どうどう巡り、始める。

これを教えると、あれを忘れる。 あれを教えると、これを忘れる。 先へ
進まない。 そこが、その犬の、馬鹿の壁。


 *     *     *


歯学部みたい、暗記の学問。 馬鹿の壁。 判然としない。 数学、物理学
なら、馬鹿の壁。 もろに出る。

我が二十九期、四年次。 全国の歯学部の共通テストで、国立、医科歯科の
学生より高得点、マークした女の子、居た。


そんなに賢けりゃ、医科歯科行けば良いのに、行けない。 数学で行けない。
英語で行けない。 物理で行けない。

歯学部の学問。 ホンマ、暗記だ。 暗記だから、国立大の学生より高得点、
出せる。


これを見れば、歯科医師の国家試験に、通ら無い学生。 勉強の仕方、間違っ
とるんよ。

歯学部には、馬鹿の壁。 無い! 暗記なら、馬鹿の方が、強い! ライセ
ンス取って、開業なんか、すれば、 むしろ、馬鹿の方が、儲かったりする!

この馬鹿の語。 意味、深(しん)。 だ、けれどもね。


これは、クソッ垂れ(たれ)め! と言いたい所だが、自身、歯科医師に成っ
てみると、事実である事が、判然とする。

世間の連中は、アホだから。 歯科医師は賢いなんて、思っとるが。



< 閑話休題、ここ確か日本の筈。 おじさん何語、話してんの? >


大学時代。 暇さえあれば、車で、遠出(とうで)。 しとったなあ。
その時の経験。


平の将門の頃、川越辺りの辻に立つと、だいたい五ヶ国語が聞けたそうだ。
アイヌ語、中国語、朝鮮語、日本語、サンガ語てえのは、

昭和三十五年頃まで、山梨の山中に居た、山住(やまずみ)」の人々の言
葉。


だけど今時だぜ。 日本に居て、言葉がサッパ、解らんてえのは、一体、何
事だ? ワシ、大学の一年次。 冬だった。 念願のスキー。 東北は岩手。

安比高原スキー場だあ。 スキーは良いのよ。 問題はその後だ。


駐車場横、村営ホテル、神の湯だ。 ワシ、温泉狂。 サウナに入ったのね。
すると、四十がらみの男二人。 大声で話してた。 その会話だ。

アメリカ人の英語でも、単語くらい、解らあな。 なのに、こいつ等、日本
人だぜ。 三十分間、話の意味、完璧に、一語も解らんのだ!


あいつ等、 いったい何語、しゃべってたんだ?


 *     *     *


若い頃。 山形県の月山、登ったのよ。 言わずと知れた百名山。 前行く
夫婦、ズーズー弁だ。 でも言ってる意味、ほぼ解った。

次の日鳥海山。 前行く若者、楽しそうなお喋り。 意味、サッパ解らん!
宿、帰って、受付の人に、この話、したのよ。 彼いわく、

あいつ等、熊襲(くまそ)ですからね。 だから解んねえんだ。 笑ったね。
熊襲じゃあ、わかんねえ、わな。


安比高原スキー場、神の湯のサウナ。 三十分間、男二人の会話、一語の意
味も解らんだ!  なんてこったい!

ここ、日本だぜ! NHK、どうしてくれるんだ!
NHKに当っても、意味無いか?


だけどさあ、アッピ高原、東京から、チョット遠いッピ! せめて会津の磐梯
高原の距離、だったらなあ。 毎年、行くんだけど。

東京から、遠すぎるよ。 安比高原!


< 鳥海山での、馬鹿話(ばかばなし) >


頂上に着いて見ると、中学生の団体、腰を下ろして、お休みだ。

ワシ、話し掛けたんよ。 君ら、この辺を、庄内(しょうない)地方と言う
語源。 知っとるか?


子供たち、キョトン。 それじゃあ、おじさんが、教えて上げよう。 む
かし、むかしの物語じゃ。 この地に、やまとたけるの尊(みこと)が来

られ、たんじゃ。 村人が集まって、みことの前で、何か言うんじゃが、
みこと、村人の言ってる言葉。 サッパ、解らん。


みこと、嘆息されての。 ホンマに、しょうむ無い連中じゃ。 一体全体
何語、さえずっとるんじゃ?  おっしゃった。

ところが、それ聞いた村人たち。 感激しての。 おおっ! みこと様が、
わしらの事を、しょうも無い連中じゃと、言って下されたぞ!


有り難い事じゃ! わしらは、しょうむ無い連中じゃ! と、意味も判らず
有り難がるから、みこと。 いよいよ、お呆れ(おあきれ)になられて、

ホンマに、諸君らは、しょうむ無い、連中やわ! おっしゃった。 のにだ。
村人、大感激! これからは、我らの住む、この辺を、しょうむ無い地方と、

呼ぶ事に、しよう! だなんて。 言い合うから、みこと、余りの事に、顎
を外されて、しまわれたそうな。


と言う、馬鹿馬鹿しい由来で、君らの住む、この辺り(あたり)。 庄内
(しょうむない)地方と、成ったんじゃ。 

と、ワシが、からかっとるのに、中学生。 キョトンと、しとるんや!


それでワシ、大きな嘆息、付いて。 ホンマに君らは、しょうむ無い連中
やわ! 言うたったんよ。

流石に、引率の先生(おなご)。 腹抱えましたがね。 子供達、ポカン
ですわ。  ひょっとして、庄内地方の語源。


ホンマに、やまとたけるの尊(みこと)の、しょうむ無い。 から来とるん
と、違(ち)ゃうか?  そうなると、ワシの珍説。 正しいかも?


 *     *     *


大体、諸君らは、鳥海山を、ちょうかいさん、と読むが、これ、本当は、
ちょうみさん、が正しいんよ。 冗談ぬきで。

ちょうみ、とはアイヌ語。 神の降りたもう所の意。 これは本、アイヌ語
に拠る、日本地名の研究。 に出て来る。


この、ちょうみ、に、鳥海の字を当てたのが、間違いの始まり。 知らない
人。 ちょうかい、と読むわな。 今じゃあ、ちょうみさん、なんて読むと、

変人扱いされる。 本に依れば、横浜の八景なんかも、これだ。 あそこ、
元々は、やんけ、なんよ。 やんけ、に八景なんて、調子の良い当て字する

から、いかんのだ。 はっけい、では無い! やんけ、と読むんだ! やん
け、とは何か?


やんけ、とはアイヌ語で、舟着場だ。 そこで働く若い衆を、やんしゅう、
と呼ぶ。 はっけい、では無いんだぞ! やんけだ! 舟着場だ!

本、アイヌ語による日本地名の研究は、我が、くじら文庫に収録してある。
おもろいでえ。 参考にして呉れ。


念を押しますが、庄内地方の語源の記述は、ワシ一流の、駄洒落ですから、
本気に、なさいません様、お願い申し上げます。

庄内地方の皆様。 お笑いの上、ご容赦下さいます様、重ねて、お願い申し
上げます。  かしく、かしく。


< インプラントで儲けたい先生方の為に >


倫理系の、ある講義、息抜きの時間。 先生が、学生に、質問した。


皆さん方は、どんな理由で歯科医師に成ろうと、考えたのですか? 国民の
歯科衛生の向上の為、ですか? 歯の健康を通じて、人々が幸せになる、

お手伝いの為、ですか?

この質問に、起立して答えたのは、な、なんと、高野山、坊主頭(あたま)
の、Aではないか!


ボクは、金と女と酒の為に、歯科医師に成るんです! 豪邸かまえて、
超美人の女房、はべらして、高級車ころがして、美味美酒に、うつつ抜かす

その為に、歯科医師に、成るんでーす!


教室、爆笑、爆笑、大爆笑! 歓声、歓声、大歓声!

あの時は、湧いたね。


 *     *     *


臨床実習の中だった。 学生をアジル先生、居たのよ。

君ら、インプラントを打ちたまえ。 月収一千万、いや、それ以上、年収
何億の生活!

これ聞いて、気持ち上ずって、ハイに成った学生、何名か出た。


オイオイオイ! 調子に乗るんじゃ無いよ! 何だ、その顔は?
目が、どうてん、しとるや、ないかっ!


不思議な事に、この手合い、成績優秀者に多い。 ある意味、悲しい事。

インプラントでボロ儲けの歯科医師(年収、一億以上)、日本全体で二
千人。 別の先生は、四千人と言う。


日本の歯科医師、総勢十万人である。 ボロ儲け、ほんの一握り。

しかし、アジッた先生。 ポイントが一つ、抜けている。 そこでワシ、
インプラントでボロ儲けしたい、歯科医師と学生の為に、一文を献ず。



< インプラントで、ボロ儲けしたい先生と、学生の為に >


歯科医師(学生を含む)、インプラントを打つ事ばかり、考えておる。

打てば、儲かると思とる。 どっこい、実際は違うと言う処、耳に入れ
よう。


インプラントで儲けてる歯科医師の内、先生一人の所、無いんと違うか?

まして先生だけの歯科医院、助手の女の子さえ居ないなら、技術が有って
も、インプラント、出来ないよ。


院長の他、腕の良い先生、一人以上置いて、チームで対応しないとインプ
ラント、無理である。 経営が上手くて、インプラントの患者だけの歯科

医院に、成ってしまえば良いが、普通の患者さんも来ていると、先生一人
、不便が多い。


インプラントの患者、一人得ようとすると、普通の保険の患者、二十人以
上、来る。 保険の患者なんて、儲からない。 こんな利幅の薄い患者、

来なくて良い。 ウチはインプラントしか、しません! に、成れた先生、
成功なんだが、


そこへ到達する道、当然、険しい(けわしい)。 保険の患者、追い返し
てみろ。 インプラントの患者も、来なくなる。

普通の患者を大切にしないと、インプラントの患者も、来ない。


この壁を越えるのが、難しい。 先生一人で歯科医院、沢山の普通の患者
を治療して、インプラントも打つとなると、身体が持たない。

インプラントの患者、夜中でも電話して来る。

ボロ儲けどころじゃ無い。 ヘトヘトに成る。 身が持たない。 嫌でも
チームを組んで、チームで対応しないと、やって行け無い。


とにかく、普通の患者を、片付けて呉れる先生。 チームなら対応、可能だ。
つまりね、学生諸君。 インプラント、打つ技術だけでは、駄目な

んよ。 良質の歯科医師、部下にする才覚。 求められる。


腕利きの技工士、側に置ける能力が有れば、なお良い。 なんならインプ
ラントも、誰かに打たせて良いわけだが、そうなると鉄鋼王、カーネギー

に成ってしまう。 彼いわく、自分より優れた者を使う術、心得たる者、
ここに眠る。 だわね。


彼の自伝。 鉄鋼王、カーネギー自伝も、我が、くじら文庫に入れてある。
ついでに、ナポレオン(あのナポレオンとは別人よ)の、巨富を作る、十三

の法則、も考察しといた。 ナポレオンは、カーネギーの要請で、この本を
書いたのだ。 いずれも、大金持ちを目指す人の、必読書だ!


ワシの見た限りでは、自分で打てない先生が、インプラントで成功してる
の、無かった。 でもインプラントが、さらにポピュラーに成れば、そん

な先生、出て来るかも知れん。


 *     *     *


当り前の事だけど、歯科技術なんて、歯科病院成功の、一部に過ぎんから
ね。 大学の講義では、この辺がスッポリ、抜けてるから、技術覚えれば、

直ぐにでもボロ儲け、みたいな話に成るのだ。 歯科医院の経営は、総合
芸術だからね。


必要な能力の内、対人関係の能力が、最重要かな? これが無いと、後の
能力の全てが、機能しない。

大学の何名もの先生が、歯科医師なんて、人間関係学ですよ! 断言され
て居たのも、肯ける。


本当、対人関係を上手く出来る先生、成功の確率、高い。 腕なんて、平均
で良いんよ。 これ、嘘じゃ無い。

歯学部の学生。 勉強は、落第せずに卒業して、ライセンス取れば、それで
充分です! あとは、仲間とワイワイ、出来る能力を高める事が、肝要。


その上で、歯科の技量を磨かないと、高いビル(大資産)、建てられない。
ここに、医療の世界の、特殊性が有る。

さて、インプラントで、億万長者に成る話だった。


 *     *     *


ある、ハイに成った学生、ワシの所へ来て。

久治良さん、税金を払わないで済む方法、教えて下さい! 苦悶の表情で聞く
んよ。 なんでも、話、聞くと、卒業してインプラント打って、何億もの収入

を得たんだが、税務署がうるさくて、うるさくて、夜、寝れ無いんだ、そうだ。


取らぬ狸の皮算用。 これに過ぎずだよ。 まったく。 笑う気にも、成らな
かった。 でも本人、大真面目だったからね。

彼が本当に、何億もの年収、上げるかどうか?  興味、シンシンだ。


 *     *     *


大学の先生に一言、言うけど、学生をアジルの、ほどほどにした方が、良いと
思うよ。


今、インプラントでボロ儲けの先生。 やはりそれなり、永い下積み、有る
わけだ。 十年以上の地道な研究の先で、収穫してるのだ。

しかるべきストーリー。 みなさん、チャント、有るんよ。


今の若い学生、そんな悠長な気分、全く無い。 今すぐに、明日にでもボロ
儲けしないと、ボク、我慢出来ないんです!

あせりに近い気分。


当然の事ながら、ボロ儲けにも、ステップが有る。 根気の要る助走。
人間に関する経験。 才能も要る。 運も無けりゃあ、務まらない。

簡単では無いのだ。 その障害を克服する根気。 君に、有るかな?


ワシの見たところ、

先生のアジ講義に、目は、どうてんし、顔、上気して、ハイに成った
学生より。 その後ろで、目立たず、控えていた学生の中からこそ、

未来の億万長者。 歯科の成功者が、出そうに思う。 世の中、たいてい、
そんなもんよ。


 *     *     *


皆さん方の中に、インプラントを、打ってもらおうとしてる方、居られると
思う。 当書店、発行の、雑誌の中に、患者の為の歯科医学が有る。

その中でインプラントを打って、貰おうかな? そんな患者の、参考にして
欲しい内容、扱っておる。 見てくれい。


 *     *     *


ワシ自身、五十歳まで患者だった。

患者の側から見た、インプラントについて、書いて置いたから、是非、見て
欲しい。


ワシが歯科医師をして、インプラントでトラブル抱えた患者。 かなり見て
来た。

言ってみれば、ワシもインプラントでは、患者の側だ。 皆さんと一緒に、
考えたい。 ワシ、弁チャラは嫌いだ。 本音で行く。 本当の事を言う。

この本が、その、証拠だ。 違うか?



< 有名タレントが、治療に来た! >


帰ろうとして学生用の玄関へ来ると、玄関、女の子で一杯だ。 な、何だ?
誰が来るんだ? なに、有名タレントだと?


その日はテレビで大人気、若い男性タレントが来た。 一般の患者さん、病
院の玄関なのに、有名人、大学の正面玄関だあ。

人だかりが嫌だから、車、こっちに付けて、人知れず、サッと乗り込む算段。


見て、見て!  出て来たわよッ!


女の子の群れ。 一歩前に踏み出し、かたずを呑む。 タレント、見てるより
女の子見てた方が、面白い。 タレント君、流石に良い顔、してたなあ。

玄関に姿を見せて、女の子の群れに手をチョット振り、カッコ良く車に乗り
去って行った。


女の子の群れ、興奮冷めやらず。 しかし、溶ける様に、消えて行った。


後は、ゴミの散らかる玄関。 灰色のコンクリートの打ちっぱなし。 いや
に寒々しく、静まり返っていた。 西行ならずとも物の哀れ(あはれ)、

身に染む瞬間だった。 雁(かり)立つ沢の、秋の夕暮れ。


灰色の壁と床。 何故か、いや増しに、冷たく感じられた。 年のせいだな。
世代の違いよ。 徒然草(つれずれぐさ)書きたいね。


 *     *     *


次段では、歯科医師会の、ある面を、書いてみよう。 埼玉県の歯科医師会。

偉いさんのお話だ。 外部の方、まず、耳に出来ない、内緒ばなし。
興味、シンシンですよ。




* * *



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